【2013年 第9回 女性が起業するとき】女性のための社会保険アドバイス
菅野 美和子 ⇒プロフィール
自分の特技や資格を活かして仕事を始めたい、そして自分の好きな仕事を続けたいということは、女性男性に限らず、かなえたい夢のひとつでしょう。起業するとなると資金も必要ですし、大変なことと思われがちが、起業のヒントは身近なところにあるのです。起業にあたって知っておきたい社会保険の知識についてもお話しましょう。
起業にあたって知っておきたい社会保険の知識
A子さんは、出産を機に仕事を辞めて、専業主婦として暮らしてきました。
子育てや家事に忙しい毎日でしたが、A子さんには趣味がありました。縫い物が好きで、娘の洋服を作っていましたし、ポーチや袋などの小物や、ビーズを使ったネックレスなどの装飾品も作っていました。
「すてきね。私もほしい!」と友人から頼まれて作ることがありました。そのうち評判がよいので、自宅ショップをはじめることにしました。
自宅ショップとは、自宅の一部を使ったお店です。A子さんは平日の昼間だけ、リビングをお店に変身させました。お店は予約制にして、予約のお客様だけが来店できるというスタイルにしました。
アクセサリー&小物店でしたが、どんどんお客が増えて、その間に資金を貯めることもでき、自宅以外にお店を出すことになりました。
チャンスはいろいろあるのです。
子育てに手がかかる、場所がない、資金がないといっても、工夫しだいでいろいろなことができます。
A子さんは趣味から起業へと発展していき、自分の好きなことを仕事にすることができました。
他にも、趣味のパン作りからベーカリーのお店を出したり、得意な料理を活かしてお総菜を販売するお店を出したり、取得した資格で仕事をはじめたり、起業の機会はいろいろあります。
しかし、起業は趣味ではありませんので、仕事として成り立たせていくためには、経営、税金、社会保険など学んでおくべきことはたくさんあります。
女性の起業には、女性ならではの方法もあります。
最初から会社を設立するという方法もありますが、サラリーマンの妻であるなら、扶養家族としての特権を活用しながら仕事を始めていくこともひとつの方法です。
起業当初は十分な売り上げが上がらないかもしれません。健康保険の扶養家族や国民年金の第3号被保険者であれば保険料負担はありません。
健康保険の扶養家族等になるための条件は、年収130万円未満。自営業の場合は、売上から経費を差し引いた額です。
だんだんと売上が伸び、130万円を超える見込みとなったとき、国民健康保険や国民年金に切り替えればよいのです。
もちろん、最初から会社(法人)を立ち上げることもあるでしょう。そのときは、社会保険に加入しなければなりません。初年度は、役員報酬を低めに設定しておけば、社会保険料の負担も少なくなります。
いずれにしても、税務署への届出はきちんと行っておきましょう。
個人事業を開始するときは、開業後1ヶ月以内に「個人事業の開廃業等届出書(開業届)」を、そして開業後2ヶ月以内に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出します。開業届と青色申告承認申請書を同時に提出しておくといいでしょう。
青色申告者となると、青色申告特別控除などの税制上の優遇措置を受けられます。
自分ひとりで仕事をしているうちは問題ありませんが、人を雇い入れるときは、労働保険(労災保険と雇用保険)の手続きも必要です。特に労災保険はアルバイトであっても対象となりますので、きちんと手続きしておきましょう。窓口は労働基準監督署です。
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