【2013年 第10回 シングルマザーと年金】女性のための社会保険アドバイス
菅野 美和子 ⇒プロフィール
さまざまな事情からシングルで子育てをしていると、仕事、子育て、家事をすべて背負うことになります。しかもシングルには「かわりがない」ので、何かあったときは大変です。日常生活に追われて年金のことまで考えられないかもしれませんが、年金は老後だけでありません。シングルだからこそ、考えておかねばならないこともあります。
シングルだからこそ、考えておかねばならないこと
9月22日の朝日新聞トップ記事は「ひとり親、未婚でも支援 寡婦控除を適用 12県市に拡大」。
未婚のシングルマザー(シングルファーザー)にも結婚歴のあるシングルマザーと同様に、保育料や公営住宅の家賃を算出するときに「寡婦控除」をみなし適用し、独自に支援する自治体が増えているということです。
寡婦控除(寡夫控除)は、離婚や死別でひとり親になったとき、所得税や住民税が軽減される仕組みです。ただし、未婚のシングルマザーは対象になりません。
所得税法に改正があったわけではありません。実際に税法上の寡婦控除が適用されるのではなく、市区町村によっては「みなし寡婦控除」として、寡婦控除と同じ扱いをしているということです。保育料や公営住宅の基準に適用し、未婚のシングルマザーに独自支援をする市区町村が、ここ5年間で拡大してきています。
シングルマザーとなる理由はさまさまですが、離婚・死別・未婚など、理由は何であれシングルマザーに同じ待遇をという点からみると、明るい方向性です。
一般的には経済的にも苦労の多いシングルマザー。シングルマザーは、ひとり分の力、ひとり分のお金で子育てをしていきます。
当面の生活や子どもの教育費の準備など、目の前のことで精一杯になりがちですが、まさかのときや、少し遠い先の自分の生活も考えておきたいものです。
いつ、病気になるか、ケガをするかわかりません。
もし、自分が病気になったら・・・
働けなくなったら・・・
突然死亡したら残された子どもはどうなる・・・
暗い話ですが、暗い話だからこそ、明るいうちに考えておく必要があります。
医療保険や貯蓄なども大切ですが、まず、公的年金からのどのようなときに、どのような給付があるかを確認しておきましょう。
障害年金とは、病気やケガなどで仕事が十分にできないとき、日常生活にも支障をきたすときに受け取れる年金です。
特に厚生年金加入中の病気やケガは、1級から3級まで年金があり、3級以外は障害基礎年金も併せて支給されるので有利です。
ここで大切なことは保険料納付要件。障害年金の請求にあたっては、一定以上の未納期間があればもらえません。障害の状態は重いのに、過去の未納のため、対象外となることもあります。
保険料納付要件とは実際に保険料を納めているということだけではなく、免除期間や学生納付特例期間など、きちんと手続きした期間は問題ありません。
親が死亡したときに子どもが受け取れる遺族年金があります。
万が一のとき、子どもたちにとって遺族年金は役に立つはずです。ところが、遺族年金も亡くなった人に一定以上の未納期間があるともらえないことがあります。
障害の状態になれば、その状態が続く限り受け取れる障害年金、子どもが高校卒業までなど一定の期間受け取れる遺族年金、どちらも、あるのとないのとでは、大きな違いです。
そして自分の老後のことも考えてみましょう。
今はまだ遠い老後もいつかはやってきます。
公的年金だけでは少ないといっても、公的年金からの給付は終身ですから、収入のない老後には支えとなります。
厚生年金に加入していれば上乗せがあるので、加入していてよかったと思えるでしょう。
国民年金に加入している人は、困ったときには免除制度を利用できますが、できるだけ、保険料は納付しておきましょう。
今を乗り切るのに免除はよいのですが、免除から脱出できないと、将来、年金額が少なくなってしまいます。
ふたりで生きている夫婦と違い、ひとりで生きているシングルだからこそ、年金をはじめ、お金のことは考えておく必要があります。
年金制度は夫婦単位の制度で、夫婦ならではの特典があります。
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