住宅ローン選びの意義とポイント【2014年 第2回】

2014年 第2回 住宅ローン選びの意義とポイント– 住宅資金・FP相談の現場から

山下 修一(ヤマシタ シュウイチ)プロフィール

 

前回は人生資金の中で住宅購入資金の考え方についてお話しました。 実際にライフプランを立てることによって、住宅を購入した場合の人生資金を展望してみることは大切なことだと思います。

今回は、住宅を購入する方のほとんどが利用する「住宅ローン」についてお話してみたいと思います。

 

 

住宅ローン選びの意義とは?

人生資金の中で住宅資金の位置づけを確認したように、住宅資金の中での住宅ローンの位置づけも確認しておきましょう。

 

 

 

 

図1をご覧ください。住宅費を大きく分けて5つの部分で捉えることが出来ます。物件価格は「(1)頭金・物件」と「(2)住宅ローン」の部分、物件を購入する時にかかる「(3)頭金・諸費用」、住宅ローンの返済期間中に負担する「(4)総支払利息」、そして住んでいる間にかかってくる「(5)維持費」です。

通常、住宅ローンを指し示す部分は(2)と(4)なのですが、(3)頭金・諸費用にも住宅ローン関係のものが入っています(代表的なものは「事務手数料」「保証料」)。また(3)頭金・諸費用と(5)維持費に捉えられるものとして団体信用生命保険に別途加入した場合の保険料があります。こうして住宅ローンを捉えて見ていただくと、住宅ローン選びの意義としては、上記に挙げた項目の総支払い額で最も少ないものを追求することになると思われます。

目先の金利だけで選びがちだが・・・

ただ実際の住宅ローン選びで見られがちなのは、とにかく返済開始時の金利が低いものを求めているケースです。おそらく毎月やボーナスの返済額を抑えたいからだと思いますが、それは何を意味するのでしょうか?

どんな住宅ローンを選んでも(2)住宅ローンつまり元本部分の支払い額は同じです。よって(5)総支払利息が抑えられそうな見込みで選んだことになります。それはおそらく変動金利か短期固定金利選択タイプだと思われますから、当初の市場金利水準が続いたとすれば結果的に正解だったということになります(先のことですから絶対にはありません)。

よって、銀行や住宅金融支援機構など住宅ローンの試算が出来るサイトで金利変動による総支払利息や繰り上げ返済の効果を確認してみることをお勧めします。もし金利がどんどん上昇して行く一方で、元金の返済があまり進まなければ、結果的に総支払利息が膨らんでしまうことが有り得ます。

住宅ローンの諸費用にも目配りを

総支払利息の他に諸費用にも目を配りたいものです。

 

 

 

 

その中で大きな割合を占めるのが保証料です。保証料は借入額・返済年数・返済方法などよって変わります。ネット系銀行を中心に保証料が不要という金融機関もあります。その次は事務手数料です。数万円の定額で済むものと、借入金額×数%と設定されているものがあります。後者は前者より適用金利が抑えられているのが一般的です。その効果も試算サイトを利用して見てください。

あとケースバイケースで注意すべきものとして、呼び方の一例で「事務取次手数料」というものがあります。販売業者や仲介業者が申込書類を金融機関へ取次することで5~40万円程度請求されている場面を見てきました。当然ご自身で手続きすれば掛からないものですから、その費用の必要性を確認してみてください。

総合的な観点でのご自身に合ったものを

近年の住宅ローンは「付帯サービス(有料/無料)」が充実してきています。リストラなどで失業した場合に一定期間の返済が免除される「失業保障」、がん・脳卒中・急性心筋梗塞のいわゆる3大疾病にかかり一定の条件を満たせば返済が免除される「疾病保障」、通常は手数料が掛かる繰り上げ返済が無料になる「繰り上げ返済手数料無料」といったところはお馴染みになってきました。

疾病保障も3大以外に7~8大疾病と拡大されて網羅されるものが異なっていることから、内容や条件をしっかり確認しておきましょう(時々キャンペーンの対象にもなっています)。繰り上げ返済手数料無料もネットバンキングによるものが主流ですが、月々の返済額を増やせる設定が出来るもの、口座残高の一定額以上を自動的に繰り上げ返済に回せるような利便性が高まったものも出ています。

このように「総支払い利息」も当然さることながら、「諸費用」「付帯サービス」も合わせた上で、総合的な観点でご自身に合った住宅ローンを選んでいただきたいと思います。

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