2014年 第4回 一戸建て購入での住宅資金計画– 住宅資金・FP相談の現場から
山下 修一(ヤマシタ シュウイチ)⇒プロフィール
住宅資金はどんな物件を購入するかにより資金計画が変わってきます。
購入前後、および、入居後に掛かる項目を想定したお金をライフプランに組み込んで展望してみることが大切です。前回は「マンション」購入者向けのお資金計画を解説させていただきました。今回は「一戸建て」を購入される方向けに資金計画のポイントと最も注意しておくべき点をお伝えしたいと思います。
一戸建ての資金計画の難易度は?
一戸建ての資金計画を一言で表わせば、「ケースバイケースであり、その難易度には幅がある」と言えるでしょう。どんな家をどれぐらいの予算で建てるのか(購入するのか)を決めることから始まります。購入される方のマイホームにかける想い、そして理想とするライフスタイル等が関わってくるため、様々なケースが考えられます。
住宅資金の相談現場で見かける典型的なケースは以下の8つが挙げられます。
1.建売住宅を購入する場合
2.建築条件付土地を購入する場合
3.土地を購入して建物を建てる場合
4.持っている土地に建物を建てる場合
5.親の土地に建物を建てる場合
6.住宅を建て替える場合
7.中古住宅(リフォームあり)を購入する場合
8. 中古住宅(リフォームなし)を購入する場合
この中で比較的難易度が高いのが3~6であり、土地購入が先行する3が最も高くなります。
コラムスペースの関係上、そのケースにフォーカスを当てて解説してみたいと思います。
土地を購入して建物を建てる場合の注意点
土地購入から住宅ローンを組む場合では金融機関での融資姿勢がまちまちです。住宅の仕様(間取り)や建築業者が決まっていれば、融資が下りるためのハードルが低くなりますが、逆に家づくりを一から時間をかけて行きたいとなればハードルが高くなりがちです。
さらに建築費用についても住宅ローンを組む場合、業者への支払いスケジュール(設計契約、着工、上棟、竣工・・)のタイミングに合うよう融資してもらえる金融機関を探すことになります。
そうなると「適用金利」とか「諸費用」よりも、「融資=OKかつ資金繰り=OK」を優先に金融機関で住宅ローンを組むことになるでしょう。
実際に経験した限りですが、メガバンクはそのあたりは消極的で、地方銀行や信用金庫のほうで対応する案件が多かったように思います。よって選択肢が狭くなる傾向でした。ただ近年は積極的に取り組むメガバンクも見かけるようになってきました。
様々な費用を念頭に置いて
本体の建築工事費の他にも、下に挙げるような様々な費用が掛かってきます。
(1)建物工事、および、関連工事費用
□建物本体工事費
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□設計費用
□工事監理費用
□建築確認申請費用
□長期優良住宅認定申請費用
□性能評価申請費用
□測量費
□地盤調査費
□地盤改良費
□建物造成費用
□屋外給排水設備工事費
□照明器具取付費
□空調機器取付費
□収納工事費
□付帯施設工事費用(例)□ベランダ □ロフト など
□外構費 (例)□塀 □庭 □デッキ □カーポート など
(2)一般的諸費用
□仲介手数料
□印紙税
□不動産所得税
□登記費用(登録免許税・専門家への報酬)
□住宅ローン関連費用(保証料・団体信用生命保険・事務手数料)
□火災保険料・地震保険料(建物)
□火災保険料・地震保険料(家財)
□固定資産税清算金
□引っ越し・家電・家具・カーテン購入費用
(3)個別的諸費用
□仮住まい家賃
□賃貸退去費用
□解体工事費・粗大ゴミ処分費用
□水道加入金
□つなぎ融資費用
□ホームインスペクション費用
□地鎮祭費・上棟式・ご近隣挨拶費用
いかがでしょうか。もちろん全て掛かるわけではありませんが、ご自身の住宅資金計画でどれが該当するのか?しないのか?全体的にチェックしていただくことをお勧めします。
当初の話からどんどん計画を進めてしまい、途中から費用が次々と判明して、引き返せず予算をかなりオーバーしてしまったという事例をたくさん見てきました。出来る限りそうならないためにも、不動産仲介業者や建築業者と項目の洗い出しと事前確認はとにかく必要だと思います。何が「込」なのか「別」なのか?しっかり認識しておかないと結構予算に響いてくるかもしれません。いずれにしても資金的に余裕を持って臨んでいただくことが重要だと思います。
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