株主優待制度とは【2014年 第7回】

2014年 第7回 株主優待制度とは- 株主優待は楽し

松山 智彦(マツヤマ トモヒコ)⇒プロフィール

株式に投資するメリットは、企業からの配当や売買する事による利益獲得だけではありません。企業が株主向けに自社商品等を提供する株主優待も株式投資の楽しみだと言えます。

 

 

○株主優待とは?

株主優待制度は、一定の持株数に応じて配当金以外のモノ・サービスを株主に対して行う制度のことをいい、企業業績の影響を受ける株主配当とは別の性質のもので、投資家にとっては、投資のインセンティブと言えます。

また、海外企業ではほとんどなく、日本独自の制度といえるでしょう。

企業の立場から、株主優待を行う主な目的は、自社の知名度や製品認知度の向上、投資家の裾野拡大や安定化等があります。特に上場企業にとっては上場を維持する条件に一定以上の株主数が必要なので、株主数の拡大や安定化の手段としては有効と言えます。

主な優待としては、無料商品券、買物・運賃の優待割引、自社製品などがありますが、近年では自社工場見学やイベント参加券等、ユニークな制度を取り入れる企業もあります。

2014年2月現在株主優待制度を導入している企業1,113社(野村インベスター・リレーションズ調べ)あります。

○どうすれば優待が受けられるのか?

株主優待を受けるためには、当然株主なる必要があります。ここで注意していただきたいのは、いつ時点で株主になるかという事です。株主優待を受けるには、権利確定日までに株主として名を連ねておく必要があります。権利確定日とは、株主の権利を得るための確定日のことです。権利確定日までに株主になるためには、「権利付売買最終日」までに株式を購入しておく必要があります。権利付売買最終日は、権利確定日の3営業日前になります。たとえば2014年の6月を例に挙げると、6月30日(月)が権利確定日であれば、6月25日(水)以前に株式を購入しておく必要があります。6月26日(木)に購入すると株主になれるのは7月1日(火)になり、6月30日分の株主優待は受ける事はできません。株式の売買をして取引が成立した日を約定日、決済手続きを行う日を受渡日といいます。

表1:約定日と受渡日

○注意点

権利確定日までに株主になれば、誰でも株主優待が受けられるとは限りません。たとえば新日鉄住金(銘柄コード:5401)の場合、単元(株式購入の最低単位)は1,000株ですが、優待のひとつであるカレンダーは7,000株以上の株主、工場見学会(抽選)は10,000株以上の株主でないと受けられません。(新日鉄住金HPより)。

また、株主優待の権利確定日が配当等のその日と異なる場合があります。

株主優待を目的とする場合には、優待を受けるための株式数と、権利確定日を必ずチェックしておいて下さい。

○株主優待を行う企業

企業が株主優待を行う目的は、先に述べたとおり安定株主の確保があります。

あくまで私見ですが、株主優待を行う企業はそれだけではなく、たとえば株主に自社製品をPRする事もあります。小売業やサービス業の場合、株主は顧客になりえます。ひとつの広告宣伝とも言えます。株主優待を行うという事は企業側にそれなりのコストが掛かります。配当等と違って原則として利益と連動しないので、株主優待を行える企業は、長期的に安定しているとも言えます。

換言すると、優待内容を縮小したり、廃止する企業は、それだけのコストの確保が難しくなったと判断できます。逆に新規導入した企業は、業績が良くなっているとも言えます。投資企業のひとつのヒントにもなりえます。

○まとめ

 私が株式投資をするきっかけになった銘柄は「カレーのココイチ」で有名な壱番屋(7630)です。ココイチで食べる機会が多かったので、せっかくだったら株主優待で食べようと思って購入しました。次回以降はさまざまな株主優待をご案内いたします。

参考文献:日本証券業協会HP https://www.jsda.or.jp

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