【2013年 第1回 株式投資は美人投票】投資の格言から学ぶ 株式投資
松山 智彦⇒プロフィール
1月から1年間、このコラムを担当します松山智彦です。今回の格言は「株式投資は美人投票」(株価は人気投票できまるともいいます)。どんな格言なのでしょうか?
AKB48の総選挙
誰が次のセンターボーカルに相応しいかをファンの投票で決める「AKB48の総選挙」。投票する人は何を基準に投票するのでしょうか?
「そりゃ、可愛いから」「握手会でのサービスが一番だから」「歌が上手から」「ヘタレなのにいつも一生懸命だから」
その結果があのランキングになります。そして不思議な事にあのランキングには誰もがほぼ納得しています。その理由は、やはりそれぞれのランキングに相応しい何かを持っていると感じるからだと思います。
ただそれは、群集心理が働いているのかもしれません。
株式投資の世界では、「株式投資は美人投票」という格言があります。値嵩株(ねがさかぶ・株価の高い銘柄の事)は、AKB48と同じようにその企業を買いたくなる何かを持っているからなのでしょう。
ではAKB48でいう、可愛さとか、歌の上手さとか、サービスというのは株式投資では何にあたるのでしょうか?
それは業績であったり、商品・サービスの評判であったり、ブランド力であったりします。
そして、それらによって株価が上がり、利益が得られる事を期待して購入し、株価に反映するのです。
一口で言ってしまうと、将来性とも言えます。その事はTOPIXが景気動向指数にある先行系列には、反映されているような事でも解ります。
さらに、株価が上がると保有していない人がその企業に興味が湧き、調査してみると上昇要因が判明し、自分も追従して購入してしまう傾向があります。これもひとつの群集心理かもしれません。
こういう、上昇トレンドを描いている銘柄(企業)に投資する戦略を、「グロース戦略」といいます。
しかし、可愛さとか、歌の上手さとか、サービスが良いからといってすべての銘柄が上がるとは限りません。また最初は上昇していても、アクシデントや評判ほど良くなかったりして、株価が急落する事もあります。
企業が人気(株価)を維持するためにはこれらのサービスレベルを常に維持するとともに、株主優待などの株主サービスを充実させる事も重要だったりします。握手会のように。
銘柄選びのポイント
では美人のような銘柄はどのようにして見つけてればよいのでしょうか?
1.常にアンテナを張っておく
2.調査を行う
3.周りの評判を聞く
の3つのポイントがあります。
街角に出向いたり、ニュース、新聞等から世の中の流れをチェックします。例えば、人気のお店やブランドは何なのか・・・などです。そしてその流れに乗っている企業の業績や経営方針などをチェックします。最後に株価動向や企業評判などを確認します。
そこから今度は自分の投資金額や方針などを確認して銘柄を絞っていくのです。
成長する企業には、何かしらのシグナルが市場をはじめとする世の中へ発信されています。それを上手くキャッチする事が大事です。AKBの研修生に目をつけるように。
「株式投資は美人投票」はウソだった?
実はこの格言は、有名投資家の“釣り“(株価を誘導するために噂などを流す事)だったという説があります。釣りを入れる事によって、群集心理を上手く利用して、出し抜けようという事です。つまり人気をある銘柄には常に買いが入り、株価が上昇していくという説を噂で流し、本来人気になるような業績や品質のない企業の株価を上昇させ、一定の所で売り抜け利益を上げたという事です。
(金商法で“風説の流布”=株価に影響を与える噂を流して利益を上げようとする事。は禁止されていますので、ご注意下さい。)
実は世界恐慌の時、ほとんどの株価が大暴落し、美人がいなくなったので、投資家が逃げだしました。
しかし、この時にごく一部の人が、大暴落した銘柄から、美人な銘柄を探し出し、ひそかに買っていたのです。このように業績などと比較して株価の安い銘柄を購入する戦略を「バリュー戦略」といいます。
つまり、この有名投資家は、この格言をフルに生かしてバリュー戦略で利益を得たのでした。
現在は、投資スタンスとして「グロース戦略」「バリュー戦略」の両方の考え方が存在し、それは投資家の好みになってしまいます。
しかし、株価の高い銘柄は、現在も将来性も期待されている事は、昔も今も変わらず、そういう意味ではやはり「株式投資は美人投票」だと言えます。
また株価の高い時は買いのチャンスである意味の格言もあるようですが、それは次回以降にご期待下さい。
本日のポイント
「バリュー戦略」:業績の割り安い株価の銘柄を探して投資する戦略
この記事へのコメントはありません。