差し迫る老後~老後資金計画のラストスパートは今!【2017年 第1回】

【2017年 第1回】差し迫る老後~老後資金計画のラストスパートは今!
後悔しない!サラリーマン家族の50代に必要なお金の話

中村 真佐子  

2017年のコラムは50代に必要なお金の話です。65歳でリタイアするなら最大15年。

この時期はその後の人生のおいて大切な時期です。30代までに子供が誕生していれば、50代のどこかで独立。ここは人生最後の貯め時となるのです。

1年間12回にわたりテーマを絞り、後悔しないサラリーマン家族が50代で準備すべきお金周りのことを連載していきます。

なぜ50代が老後資金計画のラストスパート?

サラリーマンの賃金は、50~54歳にかけてピークを迎え50代最後までほぼ維持されます。

 

 

 

 

 

 

 

生涯で一番高収入の時期が50代となり、子供も独立していく年代でもあります。子供が独立すれば教育費の支出が減り、子供に係る生活費も減少していきます。50代が老後資金計画のラストスパートといえるのは、家計全体の支出が減り、収入がピークであり60歳以降は減少していくためです。この時期にいかに老後の資金を貯めることができるかが、豊かな老後生活へのポイントとなります。

貯め時を逃さず確実に貯めるためには、資金計画いわゆる「段取り」が最も重要といえるでしょう。

では、50代に必要な「段取り」を見てきましょう。

我が家の資産の現状を確認

最初の「段取り」としてあげるのは、我が家の資産の現状を確認することです。「資産」というと仰々しい感じですが、簡単に言うと一家の預貯金や今住んでいる住まいなどの財産のことを言います。プラスの資産だけでなく住宅ローンなどのマイナスの資産も含めて一覧表を作ってみましょう。現状を確認することで、「貯める」必要性を客観的に見ることができます。

50代になると、会社から支給される退職金や企業年金の額が見えてきます。退職金や企業年金は、老後生活においては大切な資産になります。こちらもおおよその金額や受け取りの仕組みを確認しておきましょう。

支出の確認と見直し~年金生活へのシフトチェンジ準備を

資産を確認して貯める必要性を感じたところで、貯めるのが大変!と思ってしまう方は少なくないと感じます。貯める額を増やすために、次は「支出」の現状確認をしましょう。

 

年金生活になると限られた年金収入の中で生活をしていかなければなりません。想定される年金額は年金定期便で確認できます。その額を現状の支出が上回っていれば黄色信号。そのままのレベルで年金生活に突入すると、それまで貯めた預貯金や退職金などの資産を取り崩していくことになり、取り崩す額が大きければその分資産の減少スピードが早くなります。年金生活前にそれを意識し生活の見直しができる期間が50代。収入が急激に減る60歳以降には、収入に見合った生活レベルに落とし、資産の減少のスピードをなるべく緩やかにし、病気や介護、災害等のリスクのために資産を確保しておくことが望ましいです。

 

そのためには、日々の支出も無駄がないか見直すことが必要になります。生活のレベルや習慣を急に変えることは難しいがゆえに、50代で子供が独立した後は、年金生活を想定して支出の無駄をなくし緩やかにシフトチェンジをする準備期間としてとらえましょう。

支出を見直すことができれば、貯蓄に回すお金も増えることになります。

収入の計画と準備~本当のリタイアはいつ?

最後に収入についてみていきましょう。今働いている会社は望めば65歳まで働くことができます。日本人の平均寿命は世界的に見ても長いです。65歳で働くのをやめ、85歳まで生きるとしたら、20年間の老後生活になります。大卒で65歳まで働いた期間の約半分を年金と資産で生活していくことになるのです。

現在進行形で伸び続けている老後期間。自分たちが老後を迎えるころにはもう少し伸びていると想定しましょう。日本老年学会などは、高齢者の定義を75歳と提言しました。国の社会保障では65歳から年金が支給されますので、65歳からがリタイアと定義付けられています。本当のリタイアとは何でしょう?サラリーマンの時のようにとはいかずとも、わずかながらの労働の対価があり、社会とつながりが続く限り現役なのでしょうか?中には生涯現役という方もいます。長い老後生活は、これまでの年金だけで成り立つという常識は通じなくなってきます。いつまで収入を得るのか?今一度考えてみましょう。

収入を得る期間が長ければ資産の減少を緩やかにできます。貯蓄のラストスパートをどんなに頑張っても足りなくて不安という方もいるでしょう。とはいえ長らく働いてきた会社に永遠と勤めることも難しいです。今の会社以外のシニアキャリアへの発想の転換が重要といえます。その準備、行動を起こせるのが50代です。学生時代、自分のことを見つめ社会に出て何ができるかを考え就職したのと同様に、これからの自分は何ができるのか、何がしたいのかを改めて考えてみてはいかがでしょう。就職してから30年以上社会経験を積んだ自分は、できる事、やりたいことが就職時とは違うはず。本当のリタイアはいつ?を意識し収入の計画と準備をしてみましょう。

今回は、50代が老後資金計画にラストスパートをかける絶好の時期であり、有益な50代を過ごすために必要な段取りとして、

・資産の確認

・支出の確認と見直し

・収入の計画と準備

をお伝えしました。

次回からは個別具体的なテーマを展開していきます。

次回は「個人型確定拠出年金~今からでも遅くない」です。お楽しみに。

  • コメント: 0

関連記事

  1. 成年後見制度の歴史【2014年 第1回】

  2. フランスの消費税【2010年 第 7 回】

  3. 誰にも出来ない金利予測【2011年 第10回】

  4. セカンドライフ資金を投資商品で【2013年 第6回】

  5. 金投資の基礎知識【2010年 第7回】

  6. 「穀物」に投資?!【2013年 第1回】

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。