教育費は削減できるのでしょうか?①【2013年 第8回】

【2013年 第8回 教育費は削減できるのでしょうか?①】 家計節約~家計のダイエット〜

中村 真佐子  ⇒  プロフィール

家計ダイエットは支出を無理なく減らしていこうというもの。支出削減の王道は固定費から。前回までは固定費のダイエットとして通信費や、光熱費を見てきました。今回は、教育費。教育費を期間限定の固定費ととらえて、聖域とされている教育費についてみていきます。

教育費は日々の家計から

家計の中の教育費といえば、学校へ支払うもの、学校以外の習い事などの費用を指します。子育て費用といわれているものは、ひとり育て上げるのに数千万円といわれていますが、この金額には子どもの食費や被服費なども含まれています。本コラムでは、家計の中の教育費を見ていきます。

家計の中の教育費は通常、月々で支払うものがほとんどなので、毎月の収入の中から賄っているご家庭がほとんどと察します。下記図表は総務省の家計調査による年間教育関連費です。

40歳代が一番多くて、年間約50万円弱となっています。月々に換算すると約41,000円。

家計全体からみると大きな負担感があることがわかります。

 

世帯主の年齢階級別一世帯当たり年間の教育関係費

お母さんのパート代は教育費でなくなる!?

図表からもわかるように40代50代が教育に関する支出がピークとなります。子どもが手を離れ、少しでも家計のたしにとお母さんがパートで働きだすのもこのころです。

東京都の場合は、子供の数よりも公立高校の定員が少なく、希望していても公立高校への進学ができずに私立高校に進学するケースもあります。想定していないことが起こるとパート代のほとんどが子どもの教育費の支払いに代わっていく方も少なくないでしょう。

しかし、お母さんの働きで収入を増やすことは、教育費にとどまらず、家計にとっても大きな影響をもたらします。

 

お母さんのパート代は教育費でなくなる!?

仮にお母さんのパート年間100万円(注1)をすべて教育資金に充てるとしたら、パート代でだけで賄えるのでしょうか。

下記条件でシミュレーションをしてみましょう。

 

<条件>

2歳違いの2人の子どもの教育資金

下の子どもの手が離れる小学4年生からパートをはじめ、下の子が大学を卒業する13年間パートで働く。

2子とも高校と大学は私立に進学。大学は文系学部

小学校までの教育費はお父さんの収入で賄う。
キャッシュフロー表

 

上記図表を見ると、第1子が大学入学時に、収支残高がマイナスとなり、パート代100万円では足りないことがわかります。

最終的には290万円マイナスでおわりますので、収支残高がマイナスになる第1子大学入学時に290万円の貯蓄があれば、足りることになります。

さらに、8年目からパートから正社員などに働き方を変え、収入をさらにアップすることができたなら、お母さんの働きだけで十分賄っていけることになります。奨学金を使わずに2人とも大学に進学できることになります。

2人とも高校から私立という一番お金がかかるパターンでシミュレーションしていますので、高校や大学が公立であれば、早い段階で働くのをやめることもできますし、そのまま働き続ければ、余裕が生まれ、自分の趣味ややりたいことに活用できます。

お父さんの収入からは、一切教育費の支出がないことも注目すべき点です。それまで支出していた教育費分を積立てに変え、上の子が13歳~22歳までの10年間で、マイナスになる290万円をお父さんの収入で積立(年間29万円)すると教育資金計画はバッチリということになります。

今回のシミュレーションは、お母さんのパート代をすべて教育費に充てるという極端な例です。現実的ではありませんが、お母さんの働きにより、収入が増えることは家計にとっても教育費にとっても大きな影響を与えることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

とはいえ女性は、歳を重ねるにつれて体調を崩したり、親の介護が始まったりと継続して働き続けることが困難になってしまう場合もあります。また収入が増えると気が緩み、他の支出が増えがちになってしまうこともあります。貴重なお母さんの働きを無駄にしないように、将来をしっかりと見据えて計画的にお金を使ったり貯めることが家計管理の大切なポイントとなります。

 

今回は、家計のダイエットというよりは収入を増やすことを中心に見ていきました。

次回は、大学の資金を準備の大切さと教育費のダイエットはできるのか?についてみていきます。

注1:年間100万円のパート収入を得るには、月収入約8万4千円が必要となります。

時給950円で1日6時間労働するとしたら、月に約15日間働くことになります。

※シミュレーションは、将来の値上がり等を加味していませんので、正確なものではありません。

あくまでも目安であることをご了承ください。

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