【2016年 第3回 金融商品の変更のしかた】確定拠出年金 きほんのき
宮一 幸子(ミヤイチ サチコ)⇒ プロフィール
確定拠出年金は加入者が最初にどの金融商品で積立・運用するかを決めますが、その後自由に変更ができます。
金融商品の変更のしかたには2つの方法があり、目的にあわせてどちらで変更するか使い分けしていきます。
はじめに金融商品を選ぶ
確定拠出年金は、加入するプランごとにそれぞれ提供金融機関の商品がラインアップされています。
提供される金融商品は基本的に定期預金や保険商品といった「元本確保型商品」と「投資信託」で、プランによって商品数が違います。
その中からどの金融商品で積立して運用していくかを%で指示します。
AだけだったらA100%、AとBを半分ずつだったらA50%、B50%というように指示します。
金融商品は1%刻みで合計100%になるように組み合わせすることができます。
最初になにも指示しないとデフォルト商品として定期預金でスタートするようなプランも多くあります。
たとえ定期預金を選んでも掛金にも運用益にも税金がかからないメリットがあるのですが、「よくわからないし考えるのが面倒臭いから定期預金で」というのではなく、将来を展望し自分なりの方向性を決めて主体的に任意の商品を選んで運用するのが望ましいといえます。
積み立てていく商品を変更することができる
「今の積立商品はA50%B50%だけど来月の掛金からはC100%で積立てたい」というように積立商品を変更したい場合、運営管理機関のインターネットサービスやコールサービスを活用して変更できます。
毎月の拠出金で買い付ける運用商品の比率を変更することを「商品別配分変更」とか「運用割合変更」といいます。
商品の組み合わせの変更は1%刻みででき、変更の手続きはだいたい拠出日の3営業日前までに行えばその月から変更後の商品が買い付けできます。
今保有している商品を別の商品に変えることもできる
現在持っている運用商品を売却(解約)して、他の運用商品に変えることを「スイッチング」あるいは「預け替え」といいます。
これは過去に購入(積立)して保有している商品の変更をすることです。
たとえば「現在保有しているAを10万円相当分やめて(売却)、Dに変えたい(売却金で買える分だけ買う)」というようなことです。
これは値動きを見て即座に変えたいなどというニーズに対応できますが、タイムラグがあるので注意してください。売却・購入の間に数日間手続き期間を要するため、購入金額等に影響します。
また商品によって売却にともなうコストがかかることがあります。
たとえば保険商品は解約控除というペナルティ、投資信託は信託財産留保額という費用がかかるものもあります。
積立商品も保有商品も変えるときには2つの手続きが必要
「商品別配分変更」と「スイッチング」は連動していません。
たとえば「毎月積み立てる商品もCにしたいし、今持っているBを全部Cにしたい」というような場合には商品別配分変更とスイッチングの両方を行ってCに変更することになります。
目的にあわせて使い分ける
商品別配分変更は今後購入する商品を変更することなので、少しずつ時間をかけて変えていくことです。
「いずれはだんだんとAを増やしたいなあ」と思ったら、商品別配分変更でAの比率を上げていくことで、毎月Aの保有残高を増やしていくものです。時間分散の効果が働きます。
スイッチングはある商品を売却して、売却金で違う商品を購入することで、すばやく変えていくことです。
たとえば「Aで運用収益がでていて、プラスになっている今のうちに利益分を確定させたい」などというときにAを売却して定期預金などのリスクの少ない商品に移すことができます。
放ったらかしで大丈夫?
「加入してからずっと何もしていない・・・」という人も多いようですが、投資信託は日々値動きがあるため、何もしないと残高の商品比率は変化してしまいます。
たとえば今の残高が10万円とします。内訳はAが5万円(50%)、Bが5万円(50%)。Aが6万円、Bが8万円になったら全体で14万円となります。
商品比率はAが6万円÷14万円で43%。Bが8万円÷14万円で57%になります。当初よりBの比率が高くなってしまいました。
元の比率に戻すにはBを1万円分(7%)Aに変更する必要があります。
「商品別配分変更」で掛金の比率を変えてAを多く購入してもいいですし、「スイッチング」でBを1万円相当分売却して売却金でAに変更することもできます。
PDCAサイクル(Plan Do Check Action)で
確定拠出年金で運用するときには、どのような方向性で運用していくか計画を立てることが必要です。
元本確保型と投資信託の組み合わせをどうするか・・・。そしてその方針で任意の商品を購入し、定期的に計画と実際のズレを確認して調整をしていきます。
年齢がたつにつれ方針自体変更することもあります。
このようなPDCAサイクルを繰り返していくことが大切なのです。
商品別配分変更もスイッチングも運営管理機関が用意しているホームページやコールセンターを利用する際、IDとパスワードがないとできません。
運営管理機関から送られてきたはがきをなくさないようにしましょう。なくした場合には再発行が必要です。
この記事へのコメントはありません。