【2015年 第1回 確定拠出年金のしくみ】 確定拠出年金 基本のき
宮一 幸子 ⇒プロフィール
確定拠出年金・・・言葉がなんだか難しく響きますね。でも簡単にいうと「専用口座で」「自分で運用して」老後資産をつくるしくみのことなのです。
どうやって始めるの?
まずは、どこの運営管理機関(金融機関)でこの制度を利用するかを決め、その運営管理機関を通じて「専用口座」をつくるところから始めます。運営管理機関(金融機関)によって、サービス内容や金融商品の品ぞろえ、手数料などにも違いがあるのです。
掛金は加入月の翌月から毎月専用口座に掛けていきます。そして運営管理機関の商品ラインアップの中から金融商品を選んで「運用」していきます。つまり、専用口座内で毎月の掛金を使って自分の選んだ金融商品を購入していくということです。
選んだ金融商品はいつでも他の商品に変更することができます。ただし基本的に専用口座内にあるお金は60歳以降にならないと受け取れません。また確定拠出年金は基本的に途中で辞めることができません。確実に老後資産をつくっていくしくみなのです。
企業型と個人型
確定拠出年金には「企業型」と「個人型」の2つのタイプがあります。
「企業型」とは会社が福利厚生制度の一部として確定拠出年金制度を導入し、加入対象者と定められた会社員等が加入できる制度です。会社が運営管理機関を決め、専用口座をつくってくれます。掛金額も基本的には会社が決めて、毎月掛けてくれます。また制度運営にかかわる費用は、加入者の間は会社が負担してくれるのが一般的です。加入者がすることはラインアップの中から金融商品を選んで運用することです。
「個人型」は利用したい人が任意に始められます。まずは運営管理機関を決め、掛金も自分で決め、商品を選んで運用します。制度運営にかかる費用(年間約3000円~5000円)は自分で負担します。加入できるのは自営業者等の国民年金保険料を納めている人、会社に企業年金等がない会社員となっています。今後は加入対象者が拡大されるようですが、現在のところ、主婦や公務員は対象外です。また国民年金保険料を納めていない場合も加入できません。
立場が変わっても運用を続けられる
確定拠出年金は大きく2つの特徴があります。
1つめは「立場が変わっても運用を続けられること」です。「ポータビリティ(携帯性)」があるとも言われます。もし企業型に加入していた人が会社を辞めると、その会社の企業型確定拠出年金の対象者ではなくなってしまいます。その後もし転職先に企業型があれば、新たな転職先にて資産を移す手続きをすることで運用を続けていくことができます。転職先に企業型がない場合や自営業者等になった場合には個人型として運用していくことができます。このように途切れることなく老後資産をつくりつづけられるのです。
税制優遇がある
2つめは「税制優遇があること」です。確定拠出年金は「掛金をかける」「運用する」「受け取る」の3つの段階がありますが、それぞれの段階で税制優遇が受けられます。
「掛金をかけるとき」・・・
企業型は会社が掛金をかけます。この掛金は全額会社の損金となります。加入者にとっても、この掛金は毎月会社からもらっているはずなのに給与とみなされず、税金や社会保険料が引かれることなく、そのままの金額が専用口座に入金されます。
個人型は1年間の掛金累計額が全額所得控除となります。自分の老後のためにお金を積み立てると、所得税や住民税が軽減されることになるわけです。
「運用するとき」・・・
運用益はすべて非課税となっています。通常、運用益については20%税金が課税されますから、非課税ということは他の方法と比べて有利に老後資産を増やせるということです。
「受け取るとき」・・・
受け取る方法によって退職所得控除(一時金の場合)、公的年金等控除(年金受け取りの場合)が活用できます。
税制優遇は確定拠出年金の大きなメリットです。次回はこの税制優遇メリットについて詳しくみていきます。
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