【2015年 第2回 確定拠出年金の特徴】 確定拠出年金 基本のき
宮一 幸子 ⇒プロフィール
確定拠出年金とは「税制優遇を受けながら」「途中で辞めずに」「毎月コツコツ積立して」「複利で」資産を増やすしくみです。
税制優遇があるから有利!
確定拠出年金は「掛金に税金がかからない」という特徴があります。確定拠出年金には企業型と個人型があります。企業型は企業がそれぞれの口座に掛金を掛けていきます。企業型の掛金は給与のように会社からもらうお金なのに、給与とみなさないため税金が引かれず、掛金額がそのまま積み立てられます。いっぽう個人型の掛金は自分で掛けていきます。この掛金は全額が所得控除となるので、所得が下がることで税金が少なくなります。
「掛金に税金がかからない」について、毎月5,000円掛けていき、税率20%(所得税10%、住民税10%)の例でみてみましょう。ざっくりいえば5,000円の20%=1000円が「掛金に税金がかからない効果」です。
企業型の場合、給与のように課税されてしまえば掛金は4,000円になるところですが、5,000円掛けてもらえるので差額1000円分、老後資金を増やせます。通常、サラリーマンが5,000円貯蓄したとしても、それは税引き後の給料から積立しています。その5,000円の背景には税金の負担があるわけで、実質4,000円積み立てているのと同じなのです。
いっぽう個人型は5,000円掛けると、この分所得が少なくなります。それによって1000円分税金を少なくする効果が生まれ、税金にまわるはずだったお金を手元に残せます。積立をすると節税でき、手取りが増えるのです。
また確定拠出年金は「運用益に税金がかからない」という特徴もあります。通常、運用益については20%もの税金が課税されます。1%で運用できたとしても実質0.8%ということです。運用益の非課税メリット分、老後資金を増やせます。
「掛金に税金がかからない」「運用益に税金がかからない」という2つの効果を、毎月5,000円を30年間積み立てて1%で運用できた例で比較してみます。
確定拠出年金の場合は受け取り額が210万円になります。
実質4,000円を30年間積み立てて0.8%で運用すると受取額は163万円になります。
その差、なんと47万円!2つの税金の優遇はとても有利だということがわかります。
ところで確定拠出年金は受け取るときには課税対象となります。これは課税が受け取り時まで繰り延べされているということです。ただ、確定拠出年金は、受け取り時にも税金の優遇があります。年金受け取りする場合には公的年金と合算して「公的年金等控除」が受けられます。一時金として受け取る場合には「退職所得控除」が受けられます。このように「掛金をかけるとき」「運用するとき」「もらうとき」の3つの段階で税金の優遇があるのです。
確定拠出年金はそのほかにも老後資金準備するうえで有利な特徴があります。
途中で辞められないから着実に貯まる!
確定拠出年金は基本的にいったん加入したら辞めることはできません。辞めることができるのは一定条件に該当した場合のみです。これにより着実に老後資金を準備することができます。
毎月積立する
一般的に確定拠出年金の商品ラインアップには預金や保険などの「貯蓄商品」や投資信託などの「投資商品」があります。確定拠出年金は自分で任意の商品を選んでこの商品を毎月一定日に、専用口座内において継続的に購入して積み立てていくしくみです。タイミングをねらって一度にまとめて購入するのではなく、時間を分けて購入していくわけですから、購入金額を平均化でき、リスクを抑える効果が生まれます。
複利の効果
確定拠出年金は途中で引き出しができません。運用によって得られた利益は再投資にまわります。これによって複利の効果が生まれます。さらに運用益が非課税なので複利に相乗効果をもたらします。
このように確定拠出年金は効率的に老後資金を準備できるしくみですが、注意点もあります。次回は企業型を例に見ていきましょう。
この記事へのコメントはありません。