確定申告の事例 ~年金暮らしの場合~【2005年 第3回】

【2005年 第3回】確定申告のポイント ~ 年金暮らしの場合~   確定申告

赤坂 慎二 (アカサカ シンジ)⇒ プロフィール

それでは、前回に引き続き、具体的な事例で見てみましょう!

Aさんの事例

Aさんは、3年前に30年間勤務した会社を退職した68歳の男性です。
現在は奥さんと2人、今までできなかった畑仕事や、趣味の陶芸をしながら、ときどき旅行に出かけるといった、のんびりとした生活を楽しんでいます。
でも今年は奥さんが体調を崩して、3週間入院したといったアクシデントがあり医療費が年間30万円もかかってしまいました。
それでは、所得税の計算はどうなるのでしょうか?

所得税の計算

今年の収入は、
厚生年金が245万円(公的年金の源泉徴収票にはこの他、源泉徴収税額62,400円、介護保険料50,000円の記載があります)ありました。

まず、所得金額を計算してみましょう!

厚生年金の245万円については、公的年金等に係る雑所得の速算表を使って雑所得の金額を求めます。
245万円×100%-120万円=雑所得の金額125万円

ここから所得控除額を差し引きます。

ここでいくつかの注意点があります。
① 源泉徴収票に記載されている介護保険が社会保険料控除の対象になるので忘れないでください!
② 平成17年から50万円の老年者控除がなくなりました!
③ 医療費控除の計算は30万円-(10万円と所得金額125万円×5%のいずれか少ない金額)で計算されます!

仮に、所得控除額の合計が115万円とすると
所得金額125万円-所得控除115万円=課税される所得金額10万円
この課税される所得金額について、所得税の速算表を適用して
課税される所得金額10万円×10%=1万円
と税額が計算されます。この税額から定率減税を差し引いて
1万円-定率減税額1万円×20%=8,000円
さらに、源泉徴収税額を差し引いて
8,000円-源泉徴収税額62,400円=-54,400円

と申告納税額が計算されます。
この金額がプラスの場合は確定申告をして所得税を納付しなくてはなりませんが、マイナスなので、この場合は確定申告をすることによって還付されることになります。(確定申告しないと税金は戻りません!)

今回は医療費控除で、還付金が多かったわけですが、この他にもローンで住宅を取得した場合の住宅ローン控除や一定の寄付をした場合の寄付金控除、災害や盗難などで損害を受けた場合の雑損控除の適用が受けられる場合には、たくさん還付されるかも?しれませんので、がんばって確定申告をして、還付金で温泉旅行なんていうのもいいかもしれませんね。

【2006年01月04日00時00分】

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