【2005年 第4回】確定申告のポイント ~多額の医療費がかかった場合、確定申告をしよう! ~確定申告
佐藤 益弘 (サトウ ヨシヒロ)⇒ プロフィール
自分自身や家族のために医療費を支払った場合、一定の金額の所得控除を受けることができます。
このことを医療費控除といいます。
ただ、この医療費控除の適用を受けようとする場合、年末調整で税額が確定しているサラリーマンやOLの方でも、必ず確定申告をする必要があります。
医療費控除の対象となる医療費の要件とは?
医療費控除の対象となる医療費の要件は次の通りとなっています。
・納税者が自分自身または納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
・その年の1月1日~12月31日までに支払った医療費であること(未払い分はその年の医療費控除の対象外)。
医療費控除の対象となる金額は?
医療費控除の対象となる金額は、次の式で計算した金額(最高200万円)です。
〔実際に支払った医療費の合計額-(イ)の金額〕-(ロ)の金額
(イ)保険などで補てんされる金額
※生命保険契約などで支給される入院給付金や、健康保険などから支給される療養費・
家族療養費。出産育児一時金など
(ロ)10万円(もしくは、その年の所得金額の合計額が200万円未満の人は所得金額の合計額
×5%の金額)
医療費控除の具体例
ここで、ある具体例をもとにお話していきましょう。
千葉県千葉市にお住まいの片岡憲弘さんは、妻の美穂さん(専業主婦)と孝史くん(6歳)の3人家族です。
ところが、今年5月に憲弘さんが病気を患い入院をしました。
その際に、入院代・治療費として30万円を病院に支払いました。
そして、その入院に対して、加入していた生命保険から15万円が入院給付金として支払われました。
なお、その他、医療費控除に該当する医療費は5万円ありました。
この場合、医療費控除として所得控除される金額はいくらになるでしょうか?
(片岡憲弘さんの所得の合計額は200万円以上であるとします)
・実際に支払った医療費の合計…35万円(内訳:30万円+5万円)
・保険などで補てんされる金額…15万円
(35万円-15万円)-10万円=10万円←医療費控除の対象額
医療費控除の適用を受ける場合は必ず確定申告を
最後に、医療費控除の適用を受ける場合、冒頭にもお話しましたが、必ず確定申告をする必要があります。
そして、その際、医療費の支出を証明する書類(領収書)を確定申告書に添付もしくは提示しなければなりません。
また、会社員の方など給与所得のある方は、このほかに給与所得の源泉徴収票(原本)も付ける必要があります。
このように、納税者本人だけでなく、一定の要件に該当する家族も医療費控除の対象となりますので、病院の領収書はきっちりと保管しておきたいものです。
医療費控除に該当する医療費とは
医療費控除に該当する医療費とは?
・ 医師または歯科医師による診療または治療の対価(健康診断の費用や医師等
に対する謝礼金は、原則として、含まれません。
ただし、健康診断により重大な病気が発見され、引き続き治療を受ける場合、健康診断の費用も医療費控除の対象になる)。
・ 治療または診療に必要な医薬品の購入費用(風邪薬などの購入代金は医療費となりますが、ビタミン剤や栄養剤等の病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は対象外とされます)。
・ 病院等へ収容されるための人的役務の提供の対価。急患やケガ等で病院に運ばれる費用
・ 施設者または柔道整復師等による施術の対価(疲れを癒したり、体調を整えたりするといった治療とは直接関係のないものは対象外)。
・ 保健師等による療養上の世話の対価(家族や親族に付添いを頼み、付添い料の名目で金銭を支払った場合でも、医療費控除の対象外)。
・ 助産師による分娩の介助の対価。
・ 次のような費用で、医師等による診療や治療等を受けるために直接必要なもの。 通院費用、入院中の部屋代や食事代の費用、医療用器具の購入や賃借料の費用。義手、義足、松葉杖などの購入費用等。
【2005年12月26日00時00分】
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