総合格闘家・廣瀬勲選手 前編【2012年 第2回】

【2012年 第2回】総合格闘家・廣瀬勲選手 前編
ライフプラン別コラム – プロ格闘家のためのファイナンシャル・プランニング

平野 厚雄(ヒラノ アツオ)プロフィール

 

第1回目に登場していただくプロ格闘家は、総合格闘家の廣瀬勲選手(ストライプル)です!

 

廣瀬勲選手は、現役のプロ総合格闘家で、グラップラー刃牙のモデルにもなっている平直行氏が主宰するストライプルに所属しています。そして、パンクラスという総合格闘技団体の軽量級(-56kg)において、常にタイトル戦線絡む選手として活躍しております。廣瀬選手のファイトスタイルは、圧倒的な運度量で相手を圧倒し続け、常にアグレッシブに前に出るスタイルですので、常に観客を沸かせています。そして、その実力はパンクラスという団体の枠を超え、日本でもトップクラスです。

 

そして、廣瀬選手に以下の質問をしてみました。

現在の収入源、メインの収入について

【Q.01】現在の収入源をすべてあげてください(例:アルバイト代、ファイトマネー、指導料等)
A・派遣社員給料
・ファイトマネー(収入割合【派遣社員給料9:ファイトマネー1】)

【Q.02】Q1の中で、現在の生活のメインとなる収入はどれですか?
A・派遣社員給料

ファイナンシャルプランを考える上で、「収入の安定」はとても大切な要素となりますが、廣瀬選手の場合、まず収入の不安定さが気になります。派遣社員という形態で就労しているとのことですが、派遣という就労形態は(常用型・登録型により詳細は異なりますが)、以前、「派遣切り」という言葉が世間を賑わしたように、不況になるとまず雇用調整の対象となってしまうのが現実です。なお、本業であるプロ格闘家としての収入「ファイトマネー」については、年収割合では1割程度とのことですので、こちらも安定的な収入とは言い難いです(しかし、これが世の中の「プロ格闘家」と呼ばれている人の現実。格闘技一本で生計をたてられている人は、おそらく一握りの人間です)。

そして、プロ格闘家には共通な問題があります。それは「練習時間の確保」という問題です。プロ格闘家である以上は、試合に向けて練習しなくてはなりません。そこで、練習時間確保には仕事との調整が必要になってしまいます。廣瀬選手の場合、やはり練習時間を確保したい…ということで、残業時間が少ない派遣社員という就労形態を選択しているようです。ここで廣瀬選手の中では、「仕事」よりも「練習時間の確保」の方が優先度が高いということが垣間見えます。選手としていっぱい練習したい、しかし、仕事もしなくては食べていけない…この点が、プロ格闘家特有の悩ましい点です。

そのよう制約がある中で、何ができるのか?…そこで、私からの提案ですが、廣瀬選手は現在、後身の指導を行っていないということ、かつ、収入源を複数持つこと、という両面から、格闘技の指導者としての指導料を稼ぐ、という方法をお勧めします。道場に練習に行って、それに合わせて指導できれば、練習時間を大幅に削ることなく済むはずです。そして、その指導者になる一番の勉強方法は、ずばり!指導者になってしまうことです。廣瀬選手は、実力も実績も抜群。間違いなく日本の総合格闘技界・軽量級(-56kg)のトップ選手ですから指導者もできる…はずです。

現時点で、「お金」について不安に思うこと

【Q.03】現時点で、「お金」について不安に思うことは何ですか?(「お金」以外で良いので、不安に思うことをあげてください)
A・貯蓄ができる状況ではない。

貯蓄が出来ていない状況については、なるべく早急に改善する必要があります。これは「プロ格闘家」だからということではなく、すべての人に当てはまることですが、家計が継続的に貯蓄ができるようになるには、ずばり「仕組」を作ってしまうことです。それは、【収入- 消費 = 貯蓄】ではなく、【収入 - 貯蓄 = 消費】という仕組です。例えば、毎月30万円の給与収入があった場合、1ヶ月が終わった時に余っているお金を貯金しよう!ということではなく、毎月5万円の積み立てを行おとする場合、給料日にまず5万円を貯蓄してしまい、残った25万円でやり繰りするという仕組みです。

そして、貯蓄をするためには、その原資となる「お金」が必要です。現在の収入が増えれば、その原資となる「お金」は容易に確保できますが、現状は、なかなか収入が増えません。そこで、まず行うことは、毎月の家計の把握です。そして、その家計の把握には、「家計簿」が代表的ですが、それでは手間がかかりすぎる…という場合は、別の方法があります。

まず新しいノートを買い、そこに「食費」「趣味娯楽費」「通信料」等、大雑把で構わないので品目分けを行い、日々購入した品物等のレシートを、その品目毎のページにペタペタと張り付けていきます。そして、1ヵ月終了時にそのレシートを見返してみます。この作業で、1ヶ月で何にいくら使っているのか?また、ムダ使いがいくらあるのか?ということを把握できるので、積立の原資「お金」が捻出できると思います。

後編へつづく

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