【2014年 第6回 】携帯電話の料金の見直し その4 「格安スマホ」「格安SIM」- 家計の負担、通信費の削減
弓削田 直美(ユゲタ ナオミ)⇒プロフィール
前回は、携帯電話、特にスマートフォンでのデータ通信量についてご説明しました。自分がどのくらいデータ通信量を消費しているかを知ることは、節約にも有効ですが、スマートフォンの使い方自体を見直すことにもつながります。
今回は、データ通信料金が破格である「格安スマホ」「格安SIM」についてお話いたします。
一人当たりの月間のデータ通信量
下記の表は、スマートフォンの契約者の1ヶ月のデータ通信量の値です。
ほとんどのスマートフォン利用者は、データ通信に関して5,000円前後の「定額プラン」を契約していますが、上限の7GB近くを消費している利用者(4GB以上)、すなわち5,000円の支払に見合う使い方をしている利用者(ヘビーユーザ)は5.5%しかいないことがわかります。
一方で、70%を占める1GB未満の利用者、3GB未満まで入れると90%にものぼる利用者(ライトユーザ)にとって5,000円は、支払金額に見合う使い方をしていない、もったいない、損をしているということになります。
7GB分が5,000円の価値と考えると1GBあたり、5,000円÷7≒714円となり、大部分の人は、価値に見合うコスト負担とは言えないことがわかります。
データ通信をそれほど使っていない人にとって、5,000円負担が1,000円~2,000円になり、価値に見合う価格に近付くことができたら、無駄なお金を使わずに済みます。そこに目を付けたのが、最近注目を浴びている「格安スマホ」「格安SIM」です。
「格安スマホ」「格安SIM」の仕組みとメリットデメリット
格安スマホは、安いSIMカードを利用するというのが、大手携帯電話会社のスマートフォンとの違いです。SIMカードとは、携帯電話で使われている電話番号を特定するための固有のID番号が記録されたICカードのことです。携帯電話やスマートフォンの中に必ず装着されています。
通常、SIMカードは自由に差し替えて他の端末(電話機)では使えないようになっています。(SIMロックといいます)
イオンが発売した「格安スマホ」は、データ通信のスピードや容量などを絞った安いSIMカード(格安SIMカード)を、SIMフリー(SIMロックのかかっていない)のスマートフォンに入れて販売されたものです。ビックカメラなどの家電量販店なども続々参入しています。
「格安SIM」は、OCNなどのプロバイダーなどが利用者と格安SIMカードだけを契約し、利用者が中古スマートフォンを購入し、自分でSIMカードを挿入して使用する仕組みのものです。
なぜ安い料金で利用できるのかというと、安いSIMカードを使い「MYVO」という仮想移動体通信事業者が、NTTドコモなど通信設備を持つキャリア(携帯電話会社)から回線を借りて運用するため、安い価格でサービスを提供できるのです。
次にメリットデメリットをみていきましょう。
「格安スマホ」「格安SIM」の最大のメリットは、利用料金が安いことです。格安スマホは、端末料金(分割)をいれても、3,000円を切る価格で予約が殺到しました。
格安SIMは、基本料金込みで月々1GBまでなら1,000円以下、3GBまででも2,000円前後で抑えることができます。
大手携帯電話会社のスマートフォンなら、固定費で7,000円程度かかります。月々5,000円の節約ができれば、1年間で60,000円も節約ができます。
これは食費や光熱費を見直すより、効果的に節約できそうですね。
デメリットは、まず通話料のサービスがないことです。
格安スマホの通話料金は、同じ会社間やファミリー間無料等のサービスがなくすべて30秒で20円(税別)かかります。
もう一つのデメリットは、データ通信量に制限があることです。ほとんどが3GBまでとなっています。
さらに、通信速度も遅く、動画鑑賞などは適しません。
「格安スマホ」「格安SIM」は通信費削減の救世主となるのか?
お金を無駄なく有効に使うということは、その価値に見合う料金を払ってこそ実現するものです。
格安スマホのメリットデメリットを踏まえて考えると、「通話はあまりせず、メール送受信やSNS、通常のWeb検索などがスマートフォン利用の中心」の方は、検討する価値はありそうです。
Webを使うときは、自宅やカフェなどのWi-Fi環境に限り、移動中はメールのみなど使い方を工夫すれば不便さも感じないでしょう。
安いからと言って、ガラケー(携帯電話)から無理やり格安スマホに変える必要はありません。普段家族との通話が多い場合にはガラケーの方が断然安いですし、スマートフォンの操作が不慣れのためストレスを感じてはその人にとって価値の低いものになります。
通信費削減は、普段の携帯やスマートフォンの使い方と、それに見合うコスト負担が高いか?安いか?の判断を間違わない、ということが大きなポイントとなります。「格安スマホ」「格安SIM」に対抗するため、大手キャリア(携帯電話会社)が通話料とパケット代を併せて節約できるサービスを始めました。
通信環境のクオリティを下げることなく節約ができると話題になっています。
次回は、大手キャリアの新サービスはどれくらい通信費削減に貢献するのかをみていきます。
(注意)
※1 MNPについては「第4回 携帯電話の料金の見直し その2 通話料金について」をご参照ください。
※2 今回ご紹介したプランはあくまで2014年6月20日時点のものですので、ご了解お願いいたします。
この記事へのコメントはありません。