【2010年 第5回 最新金融商品の辛口通信簿】 資産運用に必要ないまどきの経済知識
有田 宏 ⇒プロフィール
最近、話題になっている金融商品をいくつピックアップして、AからCまでランク付けしてみました。
いちおうBが基準でAからCに行くにしたがって悪い評価となっていくというものです。
本来はCの下のDもありますが、Dは落第点です。投資詐欺商品が該当しますので今回は対象にしません。
先進国株価指数連動型
(1)先進国株価指数連動型
商品が拡充されてきたETF。
新興国株価指数・金・原油を対象としたものが出てきましたが、あるようでなかったのが先進国の株価指数を対象としたもの。
NYダウ・ジョーンズとMSCI-KOKUSAIに連動するETFが上場されました。
待ちに待っていた商品が誕生、これでETFのみで国内外の株式にバランス良く投資をすることが可能になりました。
世界国債連動型ETF
(2)世界国債連動型ETF
債券を対象としたETFも今までは有りませんでしたが、先進国のアジア各国の国債のETFが昨年上場されました。
アメリカ国債は個別でも日常的に購入可能ですが、先進国にバランス良くとなると、個別での購入は難しく、債券投資でのETFの利用範囲が広がりました。
ただし、先進国とはいってもイコール高格付けとは限りません。
ギリシャなど税制状況の悪い国の国債が含まれている商品も有ります。
後は日本国債を対象としたものが上場されればETFのみで債券の国際分散投資が可能となります。
もっとも日本国債そのものを直接購入でも良いでしょう。
商品指数連動型ETF
(3)商品指数連動型ETF
昨年に紹介しました原油先物ETFがありますが、その後商品関連のETFが相次いで上場されました。
この1年で急速に充実した分野が商品関連のETFでしょう。
資源価格の上昇やインフレ対策としての利用価値は高いと思います。
ただし、全ての投資家に必要かどうか?この点で評価がBとなりましたが、商品投資が身近なものになりました。
上位にETFが並びましたが、この1~2年で最も充実してきた金融商品はETFであることの結果です。しかし、ETFの取引は意外と活発になっていません。コストが安いということは業者側の利益が少ないということ。販売姿勢も有るのでしょうが、自分で考えることが出来ず、言いなりになる顧客側にも問題があるのでしょうか。
通貨選択型投資信託
(4)通貨選択型投資信託
通貨選択型投資信託と債券・株式・商品などの金融商品への投資による運用益とともに、デリバティブを用いて外貨の運用益による利益をも享受しようとするものです。
外貨運用による利益を期待するためには、金利の高い新興国などの通貨を用いるケースが多いです。
問題は金融商品と通貨の組み合わせ。例えば原油先物と資源国通貨の組み合わせは、原油価格が下落すれば通貨も下落する可能性が高くなる、すなわちリスクの分散ならぬリスクの集中になってしまします。
なぜ、このような仕組みの商品を作ったのか?
投資家のことを考えればさしたるメリットも無い。
初心者には仕組みを理解することは困難であり、一方中級者はこのような商品に魅力を感じないでしょう。
二重通貨預金
(5)二重通貨預金
普通の外貨預金と違うところ、この商品は対象の外貨があらかじめ決められた想定レートより下がれば損失を被る一方、外貨が上がっても円でそのまま償還され利益は上がらない。その代償として普通の外貨預金より金利は高い。
利益は限定されるが損失は大きく膨らむ可能性が多い。
昨年は一部の金融機関で大きく宣伝されたいましたが、最近は販売を取りやめた金融機関も出ています。
かつて同様の仕組みを持っていたEB債が投資家とのトラブルに発展したように、この商品もトラブルも予想されることから販売を取りやめたのでしょうか?
個人投資家にとってはタブーのオプションの売りを絡めた商品。
いずれにしても、この商品は詐欺商品ではありませんが、合格したとしてもギリギリの水準。少なくとも広告でセールスすべき商品ではありません。
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