【2015年 第3回】海外留学中も国民年金の保険料を払うの?
年金の疑問 なんでも相談
菅野 美和子 ⇒プロフィール
22歳のBさんは大学で音楽を学んでいますが、今年の秋から2年間、海外へ留学することになりました。アルバイトで学費を準備しましたが、親からの援助も受けますので、生活費を考えていかねばなりません。現在、国民年金は学生納付特例となっていますが、海外留学中も特例対象となるのでしょうか。留学は2年間の予定ですが、卒業後は海外で仕事をしたいと思っています。
日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、すべて国民年金に加入
日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、すべて国民年金に加入しなければなりません。
会社にお勤めしている人は厚生年金に加入しますが、同時に国民年金にも加入します。(国民年金の第2号被保険者となります。)会社員等(国民年金の第2号被保険者)に扶養されている配偶者で、20歳以上60歳未満の人は、第3号被保険者として、国民年金に加入します。いわゆる「サラリーマンの妻」などです。
第2号被保険者、第3号被保険者以外の人で、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、第1号被保険者として国民年金に加入しなければなりません。
「日本国内に住む人」には、どういう意味があるのでしょうか。
日本に住んでいれば、国籍にかかわらず、国民年金に加入しなければならないということです。
それでは、日本に住んでいない日本人は?
海外で仕事、海外で留学など、日本に住所がない人は、第1号被保険者には該当しません。強制加入期間ではありませんので、強制的に国民年金の保険料を徴収されることもありません。
ただし、短期間の留学などの場合、日本に住民票を残して海外に出る人もいます。日本に住民票が残っている場合は、日本に住んでいるとみなされますので、強制加入です。
海外に転出するときに転出届を出せば、そのときから強制加入ではなくなります。強制加入ではないので、学生の納付特例も対象外です。学生の納付特例は、強制加入である第1号被保険者を対象とした制度です。
Bさんが転出届を出して日本を出れば、国民年金の保険料を納める義務はなくなります。保険料を納付しないので、その期間については、老後の年金額には反映されません。年金を受け取る資格があるかどうかを判断するときは、海外在住期間もカウントされますが、年金額には反映されません。海外在住期間が長くなれば老後に受け取る年金額も少なくなると考えてください。
将来、日本で生活するのであれば日本の年金も必要になるでしょう。少しでも多く老後の年金を受け取りたいと考える場合、海外で暮らす日本人は、希望して国民年金に加入する(任意加入)ことができます。
任意加入すれば保険料を納付しなければなりません。任意加入に免除や特例はありません。
気をつけたいのは、病気やケガ。国民年金に加入していない海外在住中の病気やケガが原因で障害の状態になったとしても、障害年金は受け取れません。国民年金に加入しないのであれば、他の方法で病気やケガに備えることも必要です。
海外留学中の学費や生活費が大変だというBさん、国民年金については未加入としても問題ありません。しかし、海外生活が長くなる場合は、日本の年金の必要性についても検討してください。何らかの方法で老後、病気、ケガに備えておきましょう。
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