【2015年 第4回正社員と派遣社員では受け取る年金額は違うの?】
年金の疑問 なんでも相談
菅野 美和子 ⇒プロフィール
27歳のC子さんは大学卒業後就職した会社でがんばってきましたが、トラブルがあって退職しました。次も正社員を希望していましたが、なかなか仕事がみつからず、派遣会社に登録することになりました。退職後は国民健康保険と国民年金に加入してきましたが、派遣社員として働きはじめたら社会保険に入れるのでしょうか。派遣社員の場合、将来受け取る年金に不利益はないのでしょうか。
社会保険(健康保険や厚生年金)の加入
社会保険(健康保険や厚生年金)の加入は、正社員や派遣社員などの雇用形態にかかわらず、一定の条件を満たしていれば加入することができます。社会保険は強制加入ですので、会社は加入手続きを取らなければなりません。
その条件とは、2ヶ月を超える雇用契約であること、1日または1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数がいずれも正社員の4分の3以上であることです。
長期で働く予定で派遣会社と契約をしているのであれば、最初から社会保険加入です。
厚生年金に加入するメリットは、なんといっても、老後の年金を上乗せできることです。老後ばかりではなく、厚生年金加入期間中に病気やケガで障害の状態になったときに条件を満たしていれば、障害厚生年金を受け取れます。老後、障害、そして家族のある人には死亡というリスクに対応するのが厚生年金です。
厚生年金の加入対象にならないときは、国民年金に加入することになりますが、40年間保険料を払ったときの満額の老齢基礎年金額は、月に65,000円程度(平成27年度)です。厚生年金に加入すると、老齢基礎年金に上乗して、老齢厚生年金が受け取れます。
「厚生年金の保険料が高いから・・・」という声はよく聞きます。
厚生年金の保険料は給料の月額を基準に決定されます。実際に支給される給料によって毎月の保険料が計算されるのではなく、「標準報酬月額」という等級に当てはめて、基本的には次の見直し時期まで同じ等級で保険料を計算します。
派遣社員の場合は時給で契約することが多く、時給は一般のアルバイトなどよりは高めに設定されています。
厚生年金の支給額は、簡単に言えば、給料やボーナスが多いほど、そして加入期間が長いほど増える仕組みです。
給料が高いということは標準報酬月額も上がり、支払う保険料も増えますが、将来受け取る年金額も増額します。ですから、派遣社員であっても、きちんと社会保険に加入できれば、将来受け取る年金につながります。
ただし、現在の時給が高めでも、ボーナスがないこと、今後契約が継続していくか、昇給していくかなど、不安定な要素は多々あります。派遣社員に限らず、正社員でも同じことがありますが、派遣社員の場合は契約期間の終了が予定されているので、不安定な要素はより高いと言えます。また、派遣契約が終了し、一定期間の間に次の派遣先が決まらないときには、社会保険の資格を喪失することになりますので、加入期間が途切れてしまうこともあります。厚生年金保険未加入による空白期間が生じると、年金額では不利益です。
消えた年金記録に続き、年金記録の流出問題もあり、年金制度に対する不安や不信感を持つ人もいますが、公的年金制度は老後、病気やケガ、死亡といったリスクに備えることができる制度です。
老後の蓄えをしておきたいと思うのなら、厚生年金を継続することには意味があります。もちろん、生き方、考え方は様々ですが、厚生年金に加入し続けることは、老後への安心材料のひとつになると言えそうです。
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