とうもろこしの基本【2013年 第3回】

【2013年 第3回  とうもろこしの基本】
リカが教える♪金融商品としての「穀物」

三次 理加 ⇒プロフィール

突然ですが質問です♪
世界で一番とうもろこしを輸入している国はどこか、ご存知ですか?
―答えは、「日本」です。
我が国は世界一のとうもろこし輸入国(注1)。世界における輸入量の15%を占めています。

実は、日本は、1984年以降、世界第1位の農産物純輸入国(注2)なんですよ(注3)。

注1:資料「米国の高温・乾燥と食料需給・価格の動向 2013年2月28日」    /農林水産省
注2:農産物純輸入額=輸入額-輸出額
注3:資料「海外食料需給レポート2011」/農林水産省

 

 

需要と供給

とうもろこしの世界生産量は854.4百万トン(2012/13年度見通し)で、生産国トップは米国、次いで中国となっています。また、世界全体の貿易量は、90.0百トン(2012/13年度見通し)で、輸出国トップは米国、2位がブラジル、3位アルゼンチンです。(図表1参照)

 

 

図表1  世界のとうもろこしのシェア(2012/13年度)

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、世界消費量は867.3百トン(2012/13年度見通し)で、うち520.2トンが飼料用、つまり家畜のエサとして消費されます。

国別では、世界最大の畜産国である米国が消費国トップ。世界消費量のおよそ3分の1を占めます。米国内の消費は、飼料用がおよそ4割。

また、ここ数年、増加傾向にあったバイオエタノール向け需要は、今では需要のおよそ4割を占めます(図表2)。

バイオエタノールは、自動車向けガソリンの代替として利用されます。そのため、近年では、原油価格が高騰すると、代替品としてバイオエタノール需要が増加し、とうもろこしの需給・価格に影響を与える傾向にあります。

 

 

図表2  米国産とうもろこし需給の推移

消費国第2位は中国です。中国は、10年程前まではとうもろこしの純輸出国でした。
しかし、経済発展による食肉需要の増大に伴う家畜飼料需要の増大により、生産量、消費量ともに右肩上がりの

傾向にあり、現在では輸入国となっています。(図表3参照)

 

 

図表3  中国の生産量、消費量、輸入量の推移

中国の生産量、消費量、輸入量

天候相場期のポイント

とうもろこしの作付け時期は、4月中旬から5月中旬。この時期に霜害や長雨となると作付けが遅れ、単収(単位あたり収穫面積)の低下を招く恐れがあります。

 

作付けが完了すると、発芽・生育期。実は、とうもろこしは、天候に神経質な植物。中でも特に大切な時期とされるのは、7月中旬から8月上旬にかけての受粉期。とうもろこしの受粉は、風による他家受粉により行われます。これは、とうもろこしにとっては、最大のエネルギーを要する作業ともいえます。空中に飛散する花粉が雌しべに付着するためには、適切な湿度が必要。適温適雨が求められます。具体的には、気温24~30℃、降雨量平均10mm/日。38℃以上の高温乾燥時には、花粉が飛びません。つまり、高温大敵!

 

とうもろこしの一生において、受粉期は1回、期間はたったの1週間しかありません。その間に最適な気温と湿気となり、受粉が完成しなければ、雌しべは枯れてしまいます。仮に受粉が成功したとしても、天候が理想的ではない状態だった場合、1本あたりの粒の数が減ってしまいます。

とうもろこしは、この受粉期が天候相場最盛期となります。

 

夏を過ぎると、天候相場後半。とうもろこしは、受粉後およそ2カ月かけて実が成熟していきます。

成熟期は、ミルク(Milk Stage)、ドウ(Dough Stage)、デント(Dent Stage)の3段階に分かれます。この時期は、成熟段階に応じて必要とされる天候が異なります。

たとえば、第2段階のドウステージは、やわらかい実が固まっていく時期。この時期(8月下旬から9月上旬)に降霜被害を受けると、実が固まらず、次の段階に進めません。つまり、降霜大敵!

第3段階のデントステージは、その名の通り、実が「歯」のように硬くなる時期。この時期(9月上旬から10月上旬)は、乾燥した天候が望まれます。

 

収穫は、9月中旬から10月中旬が目安。この時期に長雨となると、収穫作業が遅れるだけでなく、病害、品質低下により単収が減少する恐れがあります。

予備知識

CMEグループ傘下のシカゴ・ボード・オブ・トレード(CBOT)がとうもろこしの代表的な市場であり、ここでの値動きが世界的な指標価格となっています。ちなみに、同市場は、先物市場です。国内では、東京商品取引所および大阪商品取引所に上場されています。

また、CBOTでは、とうもろこし1ブッシェルあたりの価格(セント)表示となっています。とうもろこし1ブッシェル=0.0254トンです。

冒頭お話したように、日本はとうもろこしのほぼ全量を輸入しており、そのほとんどを米国からの輸入に頼っています。そのため、国内のとうもろこし価格は、海外価格と為替レート(ドル円)の影響を受けます。なお、CBOT価格を円建てに換算する式は、以下の通り。

(CBOT価格÷100)×ドル円レート÷0.0254

 

次回は「大豆の基本」について紹介します♪お楽しみに。

 

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