【2013年 第4回 大豆の基本】
リカが教える♪金融商品としての「穀物」
三次 理加 ⇒プロフィール
大豆といえば「畑の肉」。私は納豆もお豆腐も大好き。これからの季節、ビールに枝豆も最高ですね。
日本では食品として馴染みの深い大豆ですが、世界的にみた主要用途は「搾油用」。大豆を搾ると、およそ23%が大豆油、残り77%は大豆ミール(=大豆粕)となります。大豆ミールは、高タンパクの飼料で、トウモロコシや大麦等の飼料穀物に混ぜて使用されます。
大豆は、正式には菜種やゴマ等と同じ油糧種子の一種ですが、以上の理由から、商品(コモディティ)の世界では「穀物」に分類されます。
需要と供給
大豆の世界生産量は268.0百万トン、世界全体の貿易量は、99.1百万トン(いずれも2012/13年度見通し)です(注1)。これまで、生産・輸出国ともにトップは米国、2位ブラジル、3位アルゼンチンの順でしたが、2012/13年度はブラジルが米国を抜き生産・輸出ともに世界一となる見通しです。(図表1参照)
一方、世界消費量は260.9百万トン(2012/13年度見通し)で、うち230.6百万トン、およそ9割が搾油用です(注1)。
国別では、中国が消費国トップ、次いで米国です。中国は、1930年代までは世界最大の大豆生産国、世界生産量の4分の3を占めていました。2000年以降、経済発展による食肉需要の増大に伴う家畜飼料需要の増大により、年々海外からの輸入量が増加。今では世界貿易量の6割超を占める、世界最大の大豆輸入国となっています。(図表2)
注1:資料「米国の高温・乾燥と食料需給・価格の動向 2013年2月28日」/農林水産省
天候相場期のポイント
穀物相場をみるうえでは、大豆、とうもろこし双方の状況を確認しておく必要があります。
なぜならば、米国の穀倉地帯では、大豆やとうもろこしを同じ畑に作付けするからです。農家が何をどのくらい作付けするのかは、2月中旬から下旬くらいまでに決めるといわれています。そのため、1月から2月初旬までの期間における大豆ととうもろこしの価格比(=比価)がとても重要となります。通常、とうもろこし:大豆=1:2.3~2.4が適正水準といわれます。
たとえば、1月から2月の間、比価が2.5強で推移していた場合、とうもろこし割安、大豆割高となります。この時、農家は、割高な大豆をより多く作付けするほうが儲かる計算になります。ここから、大豆の作付面積が増加することが予想できますね。
大豆の作付け時期は、4月下旬(とうもろこし作付け開始から10日後が目安)から5月下旬。この時期に霜害や長雨となると作付けが遅れ、単収(単位あたり収穫面積)の低下を招く恐れがあります。
実際の作付面積は、作付け時期の天候と価格によって変化します。たとえば、最初に作付けが始まるとうもろこしの作付けが天候不順等により思うように進まなければ、とうもろこしの作付面積が減少する一方、大豆の作付面積が増加することになります。
作付けが完了すると、発芽・生育期。大豆は8月の開花・着鞘期が大切です。大豆は開花期間が32日間と長いのが特徴で、この時期は「雨が降るたびに単収が増える」といわれるほど十分な降雨が必要です。そのため、とうもろこし同様、夏場の高温・乾燥が大敵であり、特に8月の降水量がより重要となるといえます。
大豆は、この開花・着鞘期が天候相場最盛期となります。
収穫は、9月中旬から10月中旬。とうもろこし同様、この時期に長雨となると、収穫作業が遅れるだけでなく、病害、品質低下により単収が減少する恐れがあるため、晴天が好まれます。ただし、大豆の場合、乾燥し過ぎると収穫前に殻が弾けてしまったり、豆が割れてしまったりする恐れがあります。そのため、収穫作業は、まず大豆、次にとうもろこしという順番になります。
予備知識
CMEグループ傘下のシカゴ・ボード・オブ・トレード(CBOT)が大豆の代表的な市場であり、ここでの値動きが世界的な指標価格となっています。ちなみに、同市場は、先物市場です。国内では、東京商品取引所に一般大豆、大阪堂島商品取引所に米国産大豆が上場されています。
また、CBOTでは、大豆1ブッシェルあたりの価格(セント)表示となっています。とうもろこしと異なり、大豆は1ブッシェル=0.0272トンです。
ちなみに、日本は大豆の95%程度を輸入しており、うち7割弱を米国からの輸入に頼っています(注2)。そのため、国内の大豆価格は、海外価格と為替レート(ドル円)の影響を受けます。CBOT価格を円建てに換算する式は、以下の通り。
(CBOT価格÷100)×ドル円レート÷0.0272
注2)農林水産省ホームページ「大豆の需要量、自給率の推移」「日本への国別輸入状況」の数値を元に算出。
次回は「小麦の基本」について紹介します♪お楽しみに。
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