【2013年 第5回 小麦の基本】
リカが教える♪金融商品としての「穀物」
三次 理加 ⇒プロフィール
小麦は、米、とうもろこしに並ぶ世界三大穀物。日本は、小麦のおよそ9割を輸入に頼っています。
輸入相手国トップは、米国(54%)、次いでカナダ(24.2%)、オーストラリア(21.6%)。しかし、国内商品取引所に小麦は上場されていません。なぜならば、小麦は国家貿易品目のため、国が一元的に輸入し、国内製粉会社等に販売しているからです。
需要と供給
小麦の世界生産量は655.4百万トン、世界全体の貿易量は、135.7百万トン(いずれも2012/13年度見通し)です(注1)。生産国トップはEU諸国、次いで中国、インドの順で、輸出国トップは米国、次いでEU諸国、カナダの順です。
第3回、4回でお伝えしたように、とうもろこしや大豆の生産国トップは、米国。輸出国は米国と南米がトップ3を占めるなど大きな偏りがみられます。他方、小麦の生産・輸出国は世界中に広がっているという特徴があります。(図表1参照)
一方、世界消費量は672.6百万トン(2012/13年度見通し)。そのほとんどは製粉用に消費されますが、うち129.1百万トンが飼料用、とうもろこし等飼料穀物の代替品として利用されます。国別では、EU諸国が消費国トップ、次いで中国、インドの順です。(注1)
世界最大の輸出国が米国であることから、小麦相場をみるうえでは、米国の生育・収穫状況を確認することが重要となります。また、平時であれば、中国やインドは、生産した小麦のほとんどを国内消費や備蓄に回していますが、天候不順等により不作となった場合などには輸入が増えます。その場合、需給をひっ迫させ、価格に影響を与えることがあります。そのため、中国・インドの動向にも注意を払っておいたほうがよいといえます。
注1:資料「海外食料需給レポート(Monthly Report) 2013年4月」/農林水産省
チェックポイント
小麦相場をみるうえでは、小麦だけ、ではなく、大豆やとうもろこし等の状況も併せて確認しておく必要があります。なぜならば、米国中西部では、とうもろこし、大豆、小麦は輪作されるからです(米北部は単作)。また、米国では、とうもろこし価格が高騰した時などに、代わりの飼料として小麦を使用することがあります。そのため、とうもろこしと小麦の価格差によっては、小麦の需給をひっ迫させ、価格に影響を与えることがあります。ちなみに、価格差の目安は、とうもろこし:小麦=100:85以下です。
予備知識
CMEグループ傘下のシカゴ・ボード・オブ・トレード(CBOT)が小麦の代表的な市場であり、ここでの値動きが世界的な指標価格となっています。ちなみに、同市場は、先物市場です。冒頭で説明したように、国内には、小麦の公設取引所はありません。
また、CBOTでは、小麦1ブッシェルあたりの価格(セント)表示となっています。大豆同様、1ブッシェル=0.0272トンです。
次回は「アメリカ農務省の需給報告」について紹介します♪お楽しみに。
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