【2013年 第1回 高齢化の進む日本】高齢期の介護とすまい
岡本 典子 ⇒プロフィール
日本は「少子高齢化」をまっしぐら。一人の女性が一生に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」は1.4人。これは2011年におけるWHO(世界保健機構)加盟193か国中174位。ドイツ、イタリアより若干低く、1.3人の韓国を若干上回る数字です。この合計特殊出産率が2.0を上回ると人口は増加するわけですが、日本は1975年に2.0を割り、若年者人口は減少し、「少子化」の一途をたどっています。一方、日本は世界有数の長寿国で、平均寿命は延び続け、男性79.44歳、女性85.90歳(平成23年簡易生命表)と「高齢化」が進行。まさに「少子高齢化」が日本の代名詞になっています。
日本の<高齢化率23.3%>を確認する
平成24年度『高齢社会白書』によれば、日本の高齢化率は23.3%です。
平成23年10月1日における日本の総人口は、1億2,780万人。
うち65歳以上の高齢者人口は過去最高の2,975万人(前年2,925万人)。
日本の総人口1億2,780万人に占める65歳以上人口2,975万人の割合(高齢化率)は23.27%、四捨五入すると確かに23.3%です。
このまま少子化が進行すると、平成60年には日本の総人口は1億人を割り9,913万人、平成72年には8,674万人となる推計です。
一方、高齢者人口は今後団塊世代(昭和22~24年生まれ)が65歳となる平成27年には3,657万人に達すると見込まれ、ピークは平成54年(2042年)で 3,878万人になると予測されています。
総人口の減少、65歳以上人口の増加により、高齢化率は上昇し続け、平成25年には25.1%、4人に1人が高齢者という社会は射程距離となりました。
そして、平成47年には33.3%と、3人に1人が高齢者に。
さらに、平成72年には39.9%に達し、国民の2.5人に1人が高齢者となる社会がやってきます。
平均寿命、平均余命、健康寿命
平成23年『簡易生命表』によれば、日本人の「平均寿命」は男性79.44歳、女性75.90歳と、前年より若干短くなってきました。2011年まで女性の平均寿命は26年連続世界一でしたが、東日本大震災の影響と若い女性の自殺などの原因で短くなり、香港が男女ともに平均寿命世界一となっています。とはいえ、日本が長寿国であることに変わりはありません。
平均寿命は0歳児の平均余命ですが、65歳時点における「平均余命」を見ると、男性18.69年(83.69歳まで)、女性23.66年(88.66歳まで)ですから、高齢期は依然と比べて大変長くなりました。
もう一つの寿命について見ていきます。それは2012年6月に厚生労働省から発表された「健康寿命」です。自立して生活できる期間を表しますが、日本人男性は70.42歳、日本人女性は73.62年です。これは日本人の平均寿命と比較して、男性で9.02年、女性で12.28年短くなっています。つまり、男女とも人生最後の約9年間(男性)、約12年間(女性)は、何らかの治療や介護を受けて生活する期間となることを意味しています。
高齢化に伴いライフプラン、マネープランは長めに
最期は“PPK(ピンピンコロリ)で大往生したい“と考える人が多いのですが、上記の平均の数字を見る限り、何らかの治療や介護、介助、助力を受けながら生活することを頭に入れておかなければなりません。ライフプラン作成においても、高齢期が長くなったことを反映し、介護のための資金も用意しておくマネープランが必要です。
介護が必要になれば、公的介護保険制度を上手く利用し、それで不足する分を用意した資金から取り崩していくことになります。まずは公的介護保険制度の中身を理解し、いざとなったらスムーズに利用できるようにしておくことが大切です。
一般的にいえることは、要介護度が低く、家族の介護や手助けが受けられるようであれば、介護保険サービスを利用した金額の1割負担分程度ですみ、生活費全般が大きく増えることなく生活できます。
しかし、要介護度が高くなると、また、一人暮らしや老齢の配偶者だけという老々世帯など、家族の介護が受けられない場合には、介護保険の1割負担分だけではすまないことを考えておかなければなりません。要介護度別に決められた限度額を超えた介護サービス利用分やおむつ代などが毎月かかってきます。
介護が必要になるかならないかはわかりませんが、いつでも必要となれば引き出せるような貯蓄をしておくと安心できます。また、民間の介護保険も出ていますので、検討されるのも一手です。
高齢期のライフプランは人生90年を見据え、長生き家系の方や長生きが心配という方は100歳までの資金計画を、元気なうちに確立しておきましょう。
次号から高齢期の介護とすまいの具体的な問題点を見ていきます。
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