【2013年 第8回 高齢者施設の種類と特徴】高齢期の介護とすまい
岡本 典子 ⇒プロフィール
高齢期になり、自宅から移り住む高齢者施設、住宅は種類が多く、見分けがつきにくいものです。今回は2つの観点から分類し、それぞれの特徴を見ていきます。
高齢者施設・住宅の分類
<公的施設>
・入所決定は居住する自治体、もしくは社会福祉法人
・入居時の費用負担はない
・月額費用は所得に応じて軽減あり
<民間施設>
・経営母体は、株式会社、社会福祉法人など
・入所(居)者、費用設定は各施設
高齢者向け施設・住宅の特徴
A.公的施設
各施設の特徴を見ていきますが、介護保険における『施設』とは『介護保険3施設』といわれる特養・
老健・療養病床のことです。
1 シルバーハウジング
空室になった公営住宅の1階をバリアフリー改装し、安否確認をつけ、自立で生活できる低所得高齢者
向けに提供された住宅。都市部では人気が高い。
2 ケアハウス一般型
家庭環境や住宅事情などの理由で、自宅での生活が難しい高齢者が入居する軽費老人ホームの一種で食事付き。費用は低額な上、収入に応じ事務費、管理費が軽減される。一般型は自立者が対象で介護は別契約。中~重度になると住み替え必要。
3 ケアハウス介護型
介護を受けられるケアハウス。低料金で最期までいられるので人気が高い。一般型に比べ数が少なく、
人気のところは入居困難。
4 特養(特別養護老人ホーム)
介護保険上の名称は介護老人福祉施設。身体上、精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受け入れることが困難な高齢者を入所させ、養護することを目的とする生活施設。医療機関利用が原則だが、嘱託医が定期的に訪問し健康管理。看取りを取り入れている特養もあり。最期までいられる終のすみかとなるため人気が高く、特に首都圏では複数の待機者がいる施設が多い。入所基準は、要介護度が高い、介護する人がいない点を重視。
5 老健(老人保健施設)
介護保険上の名称は介護老人保健施設。病院を退院後、すぐに自宅に戻るには不安な人や、入院治療する必要はないものの、自宅での生活が身体上不安な人が、在宅復帰をめざしリハビリを中心に生活する、病院と自宅との中間施設で、約3~6か月間が滞在目安。そのため終のすみかにはならず、必要なときに一時的に利用。医師が常駐、リハビリ専門スタッフがいる点が特徴。近年、病院の敷地内や近隣に建てられるのが目立ち、医療との関係が強化。
6 療養病床(介護療養型医療施設)
介護および医療的な管理が常時必要な人のための施設(病院)。2018年3月廃止予定。
(医療療養型医療施設は一見似ているが、医療保険で賄われている。)
B.民間施設
民間施設で代表的なのは有料老人ホームですが、介護が必要となれば在宅同様別契約が必要な住宅型有料老人ホームと、施設内のスタッフが介護してくれる介護付き有料老人ホームがあります。また、介護付きは入居時自立者だけが入居する自立型と、要介護状態で入居する介護型に分かれます。
7 介護付き有料老人ホーム自立型
自立時に入居し、最期まで介護が受けられ終のすみかとなるタイプ。共有施設が充実し、手厚い介護が用意されていることから、入居時一時金が数千万~数億円と高額な施設が多い。
8 介護付き有料老人ホーム介護型
要介護状態で、介護を受けることを目的に入居する有料老人ホーム。共有施設は食堂とリハビリルーム程度で、手厚い介護が受けられるかどうかがポイント。
9 住宅型有料老人ホーム
介護は付いていないため、外部サービス事業者との契約が必要。ただし、高額物件においては介護フロアや介護棟、系列の介護付きに移れるところもあるため、介護が必要になったらどうなるかのリサーチが必要。
10 グループホーム
認知症対応型共同生活介護といわれ、要支援2以上の軽~中度の認知症の人が、5~9人を1ユニットして共同生活する施設。スタッフに見守られながら家庭的な雰囲気の中、残存能力を生かし家事を行うことで認知症の進行を抑制。
11 サービス付き高齢者向け住宅
安否確認と生活相談サービスが付いた高齢者向けバリアフリー賃貸住宅。多くは食事サービスが付いているが、介護は外部事業者と別途契約が必要。自由にくらしたい人のうち、自宅では不安な自立者や軽介護程度までなら、有効な選択肢となる。
以上、簡単に見てきました。
介護が必要になってからのすまい探しは思うように進まないことを考慮し、充分な計画策定と段取りが肝心です。
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