「食」を考える【2008年 第2回】

【2008年 第2回 「食」を考える】地域コラム 甲信越・北陸

田中 美紀子(タナカ ミキコ)

 

 

 

 

人が生活するのには、衣食住が足りていればよいとされますが、「人が生きるためには」というもっと根源的なレベルで考えると、必要なのは「空気」、「水」、「食物」だと思います。

そして今の時代は、この三者がそれぞれに大きな問題を抱えている時代だといえます。このうちの「食物」について考えてみたいと思います。

最近、食の安全・安心が揺らぐようなできごとが続いています。たとえば、賞味期限の改ざん、産地の偽装などの食品の偽装、中国製ギョーザによる食中毒など。食品の偽装に関しては、報道などで明らかにされたものは氷山の一角にすぎないかもしれません。

食品表示に関する情報の提供を受付ける「食品表示110番」には、2007年は3,757件、前年比2.7倍もの情報が寄せられたそうです。従業員からの内部告発もあるのではないかと思います。

私達消費者は、一体何を信じて食品を購入したらよいのでしょうか。老舗だから信頼できるとか、百貨店や大きなスーパーで扱っているから安心だとかいう尺度で食品を選ぶのは安易すぎるようです。また、食品を販売する企業は、利益最優先ではなく、「多くの人が食べる」ことに対する安全・安心を最優先とし、経営者から従業員までが誇りの持てる食品を世の中に送り出してほしいと思います。

食品の偽装は賞味期限や産地の問題ですが、では食品そのものに問題はないのでしょうか。加工食品、冷凍食品を買う時に、パッケージの裏に原材料名がびっしりと書かれているのを見たことはありますか?

あるメーカーの即席焼きそばには、小麦粉・食塩などの他に蛋白加水分解物、カラメル色素、アミノ酸等、乳化剤、酸化防止剤、甘味料・・・・などなど33種類もの原材料名が書かれていました。実はその半数近くが食品添加物なのです。まるで、食品添加物を食べているようなもの。

「食品の裏側」という、食品が作られる舞台裏を描いた本があります。著者は食品添加物の元トップセールスマン。その仕事を辞めたのは、自分の開発したミートボールをわが子が食べるのを見ていられなかったことがきっかけだったそうです。それはそのままでは廃棄するしかないくず肉に30種類の白い粉(食品添加物)を混ぜて作ったものだったのです。

食品添加物と一口にいっても、昔から使われている安心なものから自然界に存在しない毒性の強いものまでのレベルがあり、また、着色のため、日持ちするため、なめらかにするためなどいろいろな用途があります。

食品添加物が氾濫している現状ですが、使用されている食品添加物は本当にすべて必要なものなのでしょうか。たくさんの食品添加物を何十年も食べ続けて体に悪影響はないのでしょうか。

食品添加物を極力摂らない方法としては、有機野菜・無添加の食品を扱う信頼できる店や宅配業者を利用する、「有機JASマーク」のついた食品を買うなどがあります。「有機JASマーク」とは、農林水産省の有機食品の検査認証制度で厳しい生産基準をクリアして生産された有機(オーガニック)食品のみがつけることができます。遺伝子組換え技術は使用不可で、農薬・化学肥料・添加物などは厳しく制限されています。
小さいマークですが、安全で体に良い食品の証なのでしっかり見逃さないようにしたいものです。

「食」は生きるための基本となります。疎かにしていると10年後にその影響があらわれるといいます。私達は、食に関して無頓着であってはいけない、もっと食への関心を高め正しい知識を持つよう心がけるべきだと思います。

有機JASマーク

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