【 2010年 第6回 ゆとりある老後に公的年金以外にいくら必要か 】相談コラム
恩田 雅之⇒プロフィール
相談内容
●相談者 Aさん(55歳)
●相談内容
65歳以降にもらえる年金額は夫婦で月額25万円程度の予定です。
老後の生活資金として年金だけでは不安があります。公的年金以外にどのくらいの資産が必要になりますか。
(家族構成)
・Aさん(55歳) 妻(54歳) 子供は独立して、現在は夫婦2人の生活。
(資産)
・普通預金 800万円
・定期預金 1000万円
・退職金予定額(60歳) 2000万円
(負債)
・住宅ローンの返済は終了。現在は他のローンの支払いもなし。
●回答
「生活保障に関する調査」(生命保険文化センター)によりますと、セカンドライフの最低日常生活費(夫婦2人)が月額24.2万円という金額が出ています。
また、ゆとりあるセカンドライフ生活費は月額37.9万円という金額になっています。
Aさんの場合は、公的年金で最低日常生活費がカバーすることができますので、ゆとり部分の資金をどのように確保するかを検討してみましょう。
まずは、ゆとりある生活費を月額38万円としてゆとり部分で必要な資金額を計算してみます。
簡易生命表からご夫妻の平均余命は、Aさん82歳、奥様が88歳なります。
ご夫婦の平均余命の平均値(85歳)から、ゆとり部分の生活資金を算出してみます。
13万円×12か月×20年=3120万円 がゆとり部分の生活資金になります。
*38万円-25万円=13万円
仮に、退職後60歳から公的年金満額支給の65歳までの間の生活資金をAさんが再就職して得た収入と普通預金と定期預金でカバーして、退職金2000万円をゆとり部分の生活資金づくりに使用した場合に、ゆとり部分の資金を月額どれだけ確保できるか、いくつかのケースで計算してみます。
ケース1:2000万円を運用せず毎年一定の金額を取り崩す。
2000万円÷20年=100万円 月額 100万円÷12ヵ月=8.3万円
ケース2:60歳から64歳まで年3%で運用し、65歳から20年間2%で運用しながら
毎年一定の金額を取り崩す。
60歳から64歳まで 2000万円×1.159=2318万円
65歳以降20年間 2318万円×0.06116=約141万円
月額 141万円÷12か月=11.75万円
ケース3:60歳から64歳まで年4%で運用し、65歳から20年間3%で運用しながら
毎年一定の金額を取り崩す。
60歳から64歳まで 2000万円×1.217=2434万円
65歳以降20年間 2434万円×0.06722=約163万円
月額 163万円÷12か月=13.58万円
ケース3で運用した場合は、公的年金と合算して月額38万円の生活資金が確保できる計算になりますが、現在の日本の金利状況ですと、投資信託など元本が変動する商品での運用を検討する必要があります。
ゆとりあるセカンドライフの生活費に関しては、ご夫婦が老後をどのように過ごしたいのかにより、必要になる資金も変わります。老後の過ごし方について、ゆっくり時間を取ってご夫婦で相談して、それに見合った資産運用の方法を検討されてはいかがですか。
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