【2006年 第2回 】[教育]費用~望まれる子供を育てやすい環境づくり~
大山 順 (オオヤマ ジュン)
「平成17年国民生活白書」によると、子どもを一人持つ世帯の支出額と子育てをしていない世帯の支出額を比較して、追加的な費用がどのくらいかかるのかを子育ての費用と考えた場合、一人の子ども(0歳~21歳まで)を育てる費用は1,302万円と推計されるそうです。
ちなみに二人目で1,052万円が、三人目で769万円が追加費用として加算されるようです。
世帯の年収に対する在学費用
また、国民生活金融公庫「平成17年度家計における教育費負担の実態調査」によると、住宅ローン利用者を対象とした調査で、世帯の年収に対する在学費用(小学校以上に在学中の子供全員にかかる費用の合計)の割合は、平均35.0%、年収「200万円以上400万円未満」の世帯では57.3%に達しているそうです。
住宅ローンの借入れの有る世帯では、ここに住宅ローンの返済という固定費が上乗せされるわけですから、「教育費」のピークと「住宅ローン」の支払が重なる期間は、家計にとって相当な負担となります。
同調査によると、自宅外通学者が一人いる世帯の仕送り額は年間104万円、自宅外通学を始めるための費用42.5万円、というデータも掲載されています。
宮城県で考えると・・・
宮城県で考えると、出身高校所在地県の大学への進学割合は、56.0%と全国平均30.6%よりは高いものの半数近くが県外の大学へ進学していることになります。
仮に自宅通学の場合でも、高校・大学と進学するにつれて通学距離が長くなる事が多く、日々の通学費用もばかになりません。
「学力と進学率低迷」問題を優先して議論しては?
こうして見ていくと、「子どもが欲しくても経済状況がそれを許さない」という判断をされる方が多いのも頷けます。所得に対する教育費の割合が高くなるほど、子どもを育てる経済的リスクは高まる訳ですから。
平成17年版 国民生活白書「子育て世代の意識と生活」より【経済的負担が大きい理由】
「子供を産みやすい環境づくり」と同時に、「子供を育てやすい環境づくり」の問題がクリアできないと、少子化対策はなかなか上手くいかないような気がします。
【2006年01月18日00時00分】
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