【 2010年 第17回】 増やす その2(時間を味方に 時間分散の効果) 相談コラム
恩田 雅之(オンダマサユキ)⇒プロフィール
相談内容
- 相談者 Cさん(35歳) 女性/未婚
- 老後のことを考えると、資産運用が必要だと思っています。
ただ、いつから始めたらいいのか分からないので、資産運用をしていません。
資産運用を始めるタイミングってあるのですか
回答
「もうはまだなり、まだはもうなり」という株式投資の格言があります。
株式を安いところで買い、高いところで売るタイミングの難しさを表した格言です。
タイミングを考え始めますと、なかなか最初の一歩を踏み出すことが難しくなります。運用の方法には、タイミングを考えないやりかたもありますので、その方法を説明させていただきます。
最初に資産の種類としては、株式、債券、リートなどの金融商品があります。
また、運用の仕方として、上記の金融商品に直接投資をする方法と、投資信託を使って間接的に投資を方法などがあります。
金融商品は、景気の状況、金利の状況や円高・円安などの為替の状況などで価額が高くなったり安くなったりします。
仮に、投資の機会が一回しかなかったら、買うタイミングはすごく重要になりますし、売るタイミングも同様に重要です。
資産運用は一般的には、10年、20年といった長期の運用になりますので、投資の機会が一回だけということはありません。投資の機会は何回もあると考えてください。
投資する機会を何回かに分けますと、金融商品の買うタイミングを分散できます。このことを「時間分散」といいます。「時間分散」することで、投資するタイミングを意識する必要が少なくなります。
投資するタイミングを意識する必要がほとんどない方法として「ドルコスト平均法」があります。「ドルコスト平均法」では、毎月同じ日に、同じ商品、銘柄を、同じ金額だけ購入します。
では、実際に「ドルコスト平均法」を活用すると、どんな効果があるか見て行きましょう。
下の表は、Aという投資信託を毎月同じ金額(10万円)分、購入時点の基準価額で買った時の購入口数になります。購入口数の小数点2ケタ以下は切り捨てています。
6か月の基準価額を単純に平均しますと、
(6,000+7,000+6,000+5,000+8,000+7,000)÷6か月=6,500円になります。
次に、6ヶ月間の平均購入単価を計算しますと、
600,000円÷94.1口=6,376円になります。
単純平均した基準価額に比べ、平均購入単価は方が低くなりました。
これは、毎月同じ金額(10万円)で購入することにより、基準価額が安い月には購入できる口数が増え、基準価額が高い月には購入できる口数が減るためにです。
これが「ドルコスト平均法」です。
ただし、基準価額が上昇、下落どちらか一方向に動く場合には、「ドルコスト平均法」の効果を得ることができないことがあります。
しかし、10年、20年の長期の資産運用を考えた場合、基準価額がどちらか一方向に動き続ける可能性は、過去の景気の変動を見てもかなり低くいと思います。
100年に一度に金融危機と言われたリーマンショック(2008年9月)がありましたが、最近のNYダウはリーマンショック前の株価水準に回復してきています。
Cさんは、老後までのまだまだ時間がありますし、その間に景気の好不況の波、投資した資産の値上がり値下がりも何回もあるでしょう。
そんな時、「もうはまだなり、まだはもうなり」と心を悩ませないために、「ドルコスト平均法」を活用した長期投資を考えられてはいかがですか。
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