【2008年 第1回 「マンション管理は誰がする?」】マンション管理コラム
佐藤 益弘(サトウ ヨシヒロ)⇒ プロフィール
ひと昔前までマイホームといえば誰もが一戸建てを想像したものですが、価格面や設備の充実、さらに21世紀に入ってからはタワー物件などマンション人気が続いています。
平成18年末にその数およそ500万戸となり、全国平均では10世帯に1世帯はマンション暮らしをしている計算になります。
こうして見るとすっかり定着した住まい形態といえますが、一方で戸建にはない様々な問題を抱えているのも事実です。
同じ建物に壁ひとつ隔てて年齢や仕事、収入や生活観が異なる人々が「共同生活」を送るわけですから当然といえますが、各自が好き勝手に生活されては隣近所が迷惑なだけでなく、マンション全体の価値までも低下させてしまう恐れがあるのです。
「マンションは管理を買え」と言われる所以がまさにここにあり、集合住宅で暮らすからには他人任せにはできないのが「管理」なのです。
では、マンション管理とはいったい何なのでしょうか?
「管理が行き届いている」とは簡単にいえば「そこに住んでいる人にも建物自体にも“きもちいい環境”である」ことです。
ゴミ置場や駐輪場が整理されている、外壁や廊下がよごれていない、などは誰もが気付くことですが、ペット飼育に関する規定が明確になっている、リフォーム時には届け出制となっている、消防設備やライフラインの定期点検が行われている、さらに長期修繕計画があり毎月積立金が蓄えられている、理事会が機能している・・・など居住者同士のコミュニティーとしてのソフト面、躯体や設備などのハード面、そして忘れてならない管理費や積立金などマネー面が三位一体となってはじめて良好な住環境が形成されるのです。
そして、この3つをコントロールすることが「管理」なのです。
続いてマンションの管理は誰が行うのでしょう。
管理員室には管理人がいて、ほとんどのことは管理業者が行っているのが大半ですが、残念ながら管理業者は管理組合と業務委託の関係にあるだけで主体となるのは「管理組合」でなければなりません。
管理組合は区分所有者で構成する団体ですから、つまりは居住者全員がマンション管理の主体たるべきなのです。
忙しい、面倒くさいと敬遠せず積極的に関心を持つことから始めてください。
居住者の意識改革こそがマンション管理の第一歩となります。
このコラムは、熊本日日新聞(2003年5月19日)に掲載された「快適マンション考」を加筆修正したモノです。
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