【2008年 第2回 「管理組合運営のためのポイント」】マンション管理コラム
佐藤 益弘(サトウ ヨシヒロ)⇒ プロフィール
「管理が行き届いている」とは「気持ちよく生活できること」であることは前回ご説明しましたが、快適な住環境を維持するには管理組合がしっかり機能していることが不可欠です。
まず、管理組合が法的にどう認定されているかというと、「区分所有者が全員で建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体(区分所有法第3条)」であるとされています。
つまり、マンションで生活する誰もが構成員である組合員となって管理していく組織だと言えるのです。
しかし、最近は100戸以上の大規模物件も多くなり、取り決めを組合員全員で決めるのは難しくなりました。
そこで代表者を選んで諸問題の解決を検討する組織として理事会を設立しています。
これは組合員から選ばれた代表者=役員が管理組合の事業計画に基づいて運営を行う執行機関で、月1回程度会合が持たれています。
しかし、ここで出た結論は組合員全員の意見ではないので、この段階では効力がありません。
組合員を集めて全員で総会(集会という場合もあります)を開くことが必要になります。
総会とは全員参加が前提の「管理組合の最高意思決定機関」で、多数決により物事を決めていく会議です。
少なくとも年1回は開催することが法的に義務付けられていて、懸案事項の決議と同時に組合運営の収支決算及び予算の報告、事業計画ならびに役員の選出などが主な討議内容となります。
こうして役員が組合員の代表としての職務を遂行し、組合員が積極的に総会に参加することが「気持ちよく生活できかどうか」の重要なポイントになります。
その際に、運営をスムーズにする基盤として欠かせないのが管理規約です。
この管理規約は日常生活におけるルールを明文化したもので「マンションの憲法」とも呼ばれ、トラブル発生時や問題解決の折の根拠にもなっています。
ですから、マンション毎の特性や事情に応じた内容が掲載されているか?が大切になります。
また、管理業務を管理会社へ委託している組合がほとんどでしょうから管理会社とうまく付き合っていくことも大切です。
どれだけ互いに信頼し合えているかによって管理の「質」に影響を与えます。
また「組合だより」など広報活動を活発化することは組合員間のコミュニケーション不足を解消することにつながり、結果として良好なコミュニティー形成にもつながりますから積極的に行いましょう。
このコラムは、熊本日日新聞(2003年6月16日)に掲載された「快適マンション考」を加筆修正したモノです。
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