【2005年 第1回】年末調整のポイント ~家族の人数が変動した場合の年末調整は? ~年末調整
佐藤 益弘 (サトウ ヨシヒロ)⇒ プロフィール
時の流れとともに、家族が増えたり、減ったりすることがあるでしょう。
家族の人数に変化があれば、所得税や住民税の税額にも影響します。
それは、税金計算上の経費である「扶養控除」といった制度があるからです。
扶養控除とは
ここで、扶養控除についてみておきましょう。
扶養控除とは、配偶者以外の一定の親族(子供など)がいる場合に、一定の金額の所得控除(所得税の計算上の必要経費)を受けることができる制度で、その年の12月31日時点の現況で、次の4つの要件をすべて満たしている場合に適用されます。
・配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族をいいます)。または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
・納税者と生計を一にしている(同じさいふで生計を立てている)こと。
・年間の合計所得金額(儲けた金額)が38万円以下であること。
・原則として、青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと。または、白色申告者の事業専従者でないこと。
(控除額については図表を参照してください)
これらの扶養親族の変化がここ1年の間にあった場合、扶養控除(異動)申告書に加筆することになります。
<家族の人数が増加するといったケース>
結婚した場合や、子供の誕生などが考えられます。
その場合、扶養親族欄に追加してください。
<家族の人数が減少するケース>
子供の独立や死亡、離婚をした場合などが考えられます。
また、子供が独立した場合や離婚した場合は、扶養親族の欄から除外する必要がありますが、死亡した場合、例外的に死亡した時の現況で、扶養控除(配偶者控除)の適用要件を満たしているかどうかを判定し、要件を満たしている場合には、その年の扶養控除(配偶者控除)の適用を受けることができます。
なお、子供の独立ですが、大学生のお子さんが遠方で下宿されており、学費や生活費の一部を親が負担しているといった場合は、原則として、独立したことにはなりません。
年末調整後の家族人数の変動
そして、年末調整後、その年の12月31日までの間に家族の人数に変動があった場合は、
年末調整をやり直すか、確定申告をすることにより、年末調整との税額の差額を調整することになります。
最後に、個別のケースにより税法上の判断が異なる場合がありますので、判断しにくいといった場合、お手数ですが、税理士などの専門家および税務署にご相談ください。
※扶養親族(配偶者)が同居特別障害者である場合、上記の金額に35万円を加算します。ただし、配偶者特別控除を除く。
【2005年11月30日00時00分】
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