【2012年 第4回】お金の貯め方、使い方の教育方法- お受験ママのこどものためのマネー講座
樗木 裕伸⇒プロフィール
お金の貯め方、使い方をどのように子供に教えていきましょう。ここでは、一つの取り組みの方向性をご紹介します。
具体的な取り組みの方向性
お金の価値を理解してもらうには、次のようなステップが考えられます。
第1ステップ:お手伝い(労働)とお駄賃(対価)を設定する(お手伝いをすればするほど収入が得られる)
第2ステップ: お小遣い帳をつける(入ってきたお金の総量と使って出て行ったお金の総量、および現在の貯蓄残高の記録を残す)
第3ステップ:使ったお金の振り返りをする(購入したモノと減ったお金とを比較して想定していた満足度が得られているか反省する)
上記のステップにより、お手伝いやお小遣いを貯めることで貯金が増えていくことを実感できますし、欲しいモノを買ったらお金が減ることも実感できます。そして何よりいいのは、自分で貯めたお金で買ったモノの記録が残っていることです。
「○月○日に買ったゲームソフトは、○○ちゃんのお手伝い50回分と同じ値段だったけど、使ってみてどうだった?」
「○月○日に買ったラジコンカーは、100回分だったけど、どうだった?」
と聞いてみましょう。そうすると
「あのゲームソフトは1月で飽きちゃったから、ちょっともったいなかったかな」とか
「ラジコンカーは、今でもとっても満足している」
など感想が聞けるでしょう。
こういったプロセスを繰り返すことで、だんだんと自分のお金を有効に使うことを学んでいきます。例えば、「ゲームソフトは新品ではなく中古で購入すれば、お手伝い30回分を節約できる」などと自分なりのモノサシで考えることができるようになります。
ここで、気をつけたいのは、単にお金を使うことをがまんさせることが目的ではないということです。
がまんは購入をあきらめることで、その場合購入したことから生じる効用も生じません。つまりお金も減らないが、お金を使う体験をできないということです。
失敗と成功を繰り返しながら体感していく
一方、節約というのは、
(1) 単価を下げる⇒お買い得をさがす、質を下げる
(2) 数量を減らす⇒無駄をなくす
ということです。
理想的な購買行動だと思いますが、子供の段階から節約を強く意識させると「高いけれどもいいモノ」と出会う機会を奪ってしまいかねないような気もします。
お金は、ただ貯めているだけでは「ない」のと一緒です。使ってはじめてお金は価値を持ちます。われわれ大人でもお金を使うときは「買ってもいいかな、どうかな」と不安になることがありますよね。お金を使うには、大げさですが「胆力」が必要です。何も考えずに買ってしまう「蛮勇」ではなく、「知勇」を持ちたいものです。
そのためには、幾度も失敗と成功を繰り返しながら体感していくしかないのだと思います。大企業ですら安泰でない今の世の中では、サラリーマンとしてだけでなく、自分で道を切り開いて仕事を見つけていくことも必要でしょう。そこには、「費用」としてお金を使うだけでなく、収入を生み出すための事業への「投資」としてお金を使える人材が必要になってきます。今からお金を使う「胆力」を子供につけさせたいものです。
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