リスクとリターン(1) -リスクとリターンって― 【2015年 第1回】

【2015年 第1回 リスクとリターン(1) -リスクとリターンって―】投資の基本

有田 宏 (アリタ ヒロシ)⇒ プロフィール

 

金融商品の説明でリスクとリターンという言葉が頻繁に出てきます。 今回はそのリスクとリターンについてです。 それでは、まずリターンから説明していきましょう。

 

リターン

リターンとは、金融商品の予想される収益率の平均です。

まず、預金のように収益が1%というように確定している商品は、リターンはそのまま1%です。しかし、株式のように不確定の商品は?一定の収益率にその収益率が実現する可能性を掛け合わせた加重平均で計算します。例えば5割の確率で30%、残りの5割の確率でマイナス10%、それぞれの収益率が5割ですからそれぞれ0.5を掛けます。

0.5×30%+0.5×(-10%)=10%

事例では2つの可能性だけですが、実際には多くの可能性が考えられ、計算式もより複雑なものになりますが、これで考え方はお解りになると思います。

リスク

リスクとは、予想される収益率の分散の大きさです。

上記の例で、預金は収益が1%で確定しています。この場合収益率の散らばりは有りませんので、リスクは0です。

一方、上記の株式では収益率が30%からマイナス10%と開きが有ります。したがって、この場合はリスクが有ります。リスクの大きさはこの開きの大きさと考えてもらえば解りやすいでしょう。

 

リスクはボラティリティとも言い、厳密には標準偏差という数値で表すことが一般的です。

入学の模擬試験で偏差値という数字が使われますが、それは標準偏差を加工したもので、自分が全体のどのあたりに位置しているかを表します。平均点近くに多くの生徒が集中している場合よりも、上と下の格差が大きく離れている方が標準偏差が高くなります。投資ではいわゆるリスクが高い、ということになります。

 

グラフは一例として株式AとBの予想される収益率の分布を表しています。両方とも予想収益率の平均、リターンは10%です。一方、分布の散らばりは株式Aよりも株式Bの方が大きくなっています。Aは2/3の確率で9%から10%の範囲に収まります。Bは2/3にはいる範囲は収益率5%から15%です。よって、リスクはAよりもBの方が大きいと言えます。

各金融商品や銘柄によって、このグラフのように綺麗な正規分布になるとは限りませんが、Aのマッターホルンのように急峻な山はリスクが低い、Bのなだらかな丘ほどリスクが高い、と思ってください。登山の危険性とは逆になりますね。

リスクとリターンの計算式を下に示しますので、興味のある方はご覧ください。

 

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