【2015年 第4回 リスクとリターン(4) リスクを抑える為に】投資の基本
有田 宏 (アリタ ヒロシ)⇒ プロフィール
前回に書いた通り、高いリターンを得るためには必ず高いリスクを取らなければなりません。 それでは、そのリスクを少しでも減らす方法は無いのでしょうか? そこで、リスクを減らす方法との一つとして考えられるのが分散投資です。
リスクを抑える
グラフをご覧ください。
証券Aと証券Bが有ります。証券AとBの値動きは逆相関、つまり証券Aが値上がりしたときは証券Bが値下がりする。反対に証券Aが値下がりした場合は証券Bが値上がりする傾向にある、とします。為替が動いた場合の輸出関連株と、燃料を輸入している例えば電力株の関係とも考えられます。
AとBを結んだ線はAとBの投資割合に応じたリスクとリターンの位置を表しています。例えばB点では100%証券Bに投資したリスクとリターンを表しています。そこから証券Aへの投資割合を高くすることにより、線に沿ってA点に近づきます。
ここでは点α、証券Bに70%、証券Aに30%投資したときリスクが最小になります。
もう少しリターンを高めたいのであれば、点β、証券Bに60%、証券Aに40の割合も選択できます。
ここで確認したいのが、β点でもB点、全額証券Bに投資する場合よりもリターンが高く、かつリスクは小さくなっています。
このように、複数の証券を組み合わせることによりリターンをそれほど損なわずにリスクを抑えることが出来ます。これがいわゆる分散投資の効果です。
株式でも1銘柄だけですと、その会社が破たんすると株式の価値はゼロになりますが、多くの銘柄に分散していると、たとえ1社が破たんしても影響は限られます。日経平均の投信に投資をしたとして、その価値がゼロになるのは日経平均を構成している225社が全部破たんしなければ。現実にそのような可能性は限りなくゼロに小さいですね。
さらに株式と値動きの異なる商品、例えば債券などを組み合わせればリスク軽減効果はより大きいものとなります。
ただ分散投資の効果は、リーマンショックのようなマーケットの大きな変動があると十分に発揮されないことも有ります。投資の効果には、ある程度長い期間を考える長期投資の考え方も必要です。
一定のリターンを期待してリスクを抑えるためには、分散投資と長期投資のスタンスは欠かせません。
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