【2005年 第3回】住居費 ~老後の生き方を考えよう~ 老後
和田 雅彦(ワダ マサヒコ) ⇒ プロフィール
前回は老後の生活費について書いたわけですが、老後の生活費の重要な部分を占めるのが、住居費です。
60歳以上の標準生活費の調査(平成16年)によると、生活費の合計は約25万円。
そのうち住居費は約1万9千円となっています。
家賃やローンが残っておられる方はこの住居費が増える可能性があります。
老後の心配
経済産業省のデータによると賃貸にお住まいの方よりも、持ち家の方のほうが老後の生活費の心配をしている人の割合が少ないということのようです。
賃貸にお住まいなら、老後も確実に家賃を支払っていかないといけませんからね。
仮に老後、月8万円の賃貸マンションに住むとすると、25年間で2,400万円もの費用が必要になります。
持ち家でローンがなければ、この支払をしなくて良いわけです。
しかし、持ち家の方でも、定年後もローンが残っていれば、その返済をしていかないといけませんし、維持費やリフォームの必要(次回のコラムで書く予定)も出てきたりします。
ですから持ち家も持ち家なりの住居費がかかることは頭に入れておく必要があります。
持ち家比率
金融広報中央委員会のデータを見ると、持ち家の比率は1985年に65.3%だったのが、2003年には72%に上がっています。
また、大都市圏よりも郡部の方が、持ち家比率は高いようです。
ちなみに平成12年の国勢調査によると、大阪の持ち家率は全国46位でした(51.44%)。
東京、福岡、神奈川も低いようです。関西では、滋賀、和歌山、奈良が高く、兵庫、京都、大阪が低くなっています。
年齢が高いほど、持ち家比率は高いようですが、最近はその比率が下がってきているようです。
老後を海外で過ごす方や、田舎暮らしを楽しむ方、老人ホームに入所される方、子供と同居される方、その他いろんな老後の住まいの過ごし方が出てきて、今後もこういういろんなライフスタイルを送る人が増えることを考えると、高齢者の賃貸派が今後も徐々に増えるんでしょう。
老後の住居費計画
持ち家の場合は、定年後ローンが残るのか、残らないのか。これで老後の住居費は大きく変わります。
よく退職金で精算をしようと考えている方がいらっしゃいますが、退職金の削減やリストラ等、予定している額が入るかどうか不透明ですし、退職金も老後の生活費を賄う大切な資金だと考えると、できるだけ定年前に繰り上げ返済等で残債を減らしておくことが必要でしょう。
賃貸の場合は、持ち家の方よりも老後資金を多く用意する必要がありますね。
先ほど月8万円という家賃額を例に挙げましたが、大阪市内なら、2DKほどのマンションでしょうが、ちょっと郊外に行けば、2DKなら、もっと安い物件が見つかると思います。
賃貸のメリットとして、好きな時期に好きな場所へ引っ越せるということがあるわけですから、そこら辺りを柔軟に考えることも必要でしょう。
大事なことは、まず自分が老後をどう過ごすのかというプランをしっかり立てることです。
そうすることで老後の住まいがわかり、住居費がわかる。対策も打てる。
リタイア後は長いです。
老後を豊かなものにするために老後の生き方を考えましょう。
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