【2016年 第6回 お金の変化!お札による支払いからキャッシュレス社会へ】生活に欠かせない持ち物!これからどうなるの?
小松 英二(コマツ エイジ)⇒プロフィール
このところ、スマートフォンのアプリを使ったモバイル決済などFintech(フィンテック)関連の話題が増えてきました。
使っている人は、まだ、それほど多いとは言えませんが、フィンテックの台頭により「お札」離れが進み、日常生活が変わろうとしています。
2020東京大会を目指して進むキャッシュレス化
キャッシュレス化が進んでいますが、その背景を解説し、現在の展開や今後の課題を見ていきましょう。
背景ですが、何といっても2020年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催があります。
2014年6月に閣議決定された「日本再興戦略」改訂の中に、2020東京大会の開催を踏まえ、キャッシュレス決済の普及による決済の利便性・効率性向上を図ることが盛り込まれました。
多くの訪日客が、種類の多い日本のお札や硬貨を使ってうまく買い物や食事ができるだろうかといった問題意識が、キャッシュレス決済の推進といった形で国家戦略の中に入ったのです。
たくさんの国々から選手、役員はもちろんのこと、多くの観戦客・観光客が東京圏や関西圏、九州、北陸、東北、北海道などの観光地を訪れることでしょう。
その際、日本が初めてとなる外国人が、買い物や食事において、一万円券、五千円券、千円券などのお札のほかに、五百円玉、百円玉、十円玉などの硬貨を数えること、渡すこと、受け取ることがスムーズにできるでしょうか。
おそらく混乱・困惑することも少なくないでしょう。
それにキャッシュレス化がすでに進んでいる国々では、小銭などが入るサイフを持っているのかも疑問です。
キャッシュレス化に向けたさまざまな取り組み
キャッシュレス化の展開を見ていきましょう。
まずクレジットカードでの支払いの利便性を高める動きです。
従来のクレジットカード決済では、固定のレジに有線で取り付けられたカード読み取り端末を用いて会計を行っていましたが、普段使っているスマートフォンやタブレットで決済が可能となる仕組みが普及しつつあります。
スマートフォンなどに専用のカードリーダーを差し込み、専用アプリケーションをダウンロードするだけで、決済・レジの機能を果たします。
決済の場所も選びませんので、宅配サービス、生損保保険料の玄関での受取り、飲食店のテーブルでの支払いなど広範に活用できるでしょう。
お祭りなどの露店やバザーにおいても、スマートフォンによるクレジットカード決済があり得るのです。
さらに2016年秋には、スマートフォンを決済用端末として、Suica(スイカ)で支払うサービスの試験導入が実施されました。
本格導入が始まれば今までSuicaなどの決済専用端末を置いていなかった店舗でもスマートフォンでSuicaなどの決済が可能となり、キャッシュレス化もさらに加速するものと思われます。
また、家計からの年金保険料や税金の公的納付も電子納付の普及が進んでいます。
特に2017年1月に運用開始予定の「マイナポータル」(マイナンバー制度で個人ごとに設けられるポータルサイトの名称)に「公金決済ポータル機能」が設けられ、クレジットカードなどと連携して年金保険料や税金の電子納付を可能とする方向で検討が進んでいるようです。
キャッシュレス社会の課題や注意すべきこと
まず、クレジットカードを提供する側の課題を見ていきます。
クレジットカードの普及とともに、個人情報をしっかりと管理することが何にも増して重要です。
このところのクレジットカード情報の漏洩事件は、加盟店からの流出によるものであり、クレジットカード会社のみならず、加盟店についてもクレジットカード番号等の適切な管理が求められます。
クレジットカードの偽造対策も課題となります。
最後にクレジットカードなど使う私たちの課題です。
カード利用は非常に便利である一方で、間違った使い方には気をつけましょう。
利用後の請求書を見てビックリ!とても払えないとして頭を抱え込む人も少なくありません。
正しい使用方法や管理方法を身に着けることが重要です。
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