【2016年 第3回 性別や年齢で異なる日本人の死因】生命保険を考える時に絶対役立つ情報!
松浦 建二(マツウラ ケンジ)⇒ プロフィール
どこの保険会社でも医療保険やがん保険等のパンフレットでは、保障の必要性をわかりやすくしたり保障内容を選びやすくしたりするために、いろいろな統計を使って説明しています。
どれも保障を考える上でとても役立つ情報なので、その中から特に重要な統計を取り上げ、さらに詳しくみていきたいと思います。
生命保険会社の特定疾病保障保険等では、三大疾病(悪性新生物・脳卒中・急性心筋梗塞)による死亡割合を表すのに、厚生労働省「人口動態統計」から死因順位や傷病ごとの死亡率を用いて説明している場合があります。
その多くの場合、性別や年齢を問わない総数の結果を用いていますが、実は死因順位や死亡率は性別や年齢で大きく異なります。
病気予防や備えをより的確にしていくためにも、性別や年齢による死因や死亡率の違いを確認しておきましょう。
がんは30年以上も前から日本人の死因第1位
下記の表は1954年から2014年まで10年ごとの死因順位(1位~5位)をまとめたものです。
<死因順位の推移>
資料:厚生労働省「人口動態調査」平成26年人口動態統計(確定数)の概況
日本人にとって悪性新生物(がん)は最も死亡数の多い傷病であり、1981年に脳血管疾患を逆転してから30年以上も1位を維持しています。
2位は心疾患(高血圧性を除く)、3位は肺炎で、4位の脳血管疾患は徐々に順位が下がってきています。
若い男性の死因はがんより自殺や不慮の事故の方が多い
次に死因順位を性別・年齢別に見ていきます。
下記表は男性の死因順位で、5歳刻みで5~9歳から20歳ごとに載せてあります。割合(%)は、それぞれの年齢別死亡数を100とした場合の傷病ごとの死亡数割合です。
<男性の年代別死因順位>
資料:厚生労働省「人口動態調査」平成26年人口動態統計(確定数)の概況
男性の総数や85~89歳の死因順位は男女全体の総数と同じく、1位悪性新生物、2位心疾患(高血圧性を除く)、3位肺炎、4位脳血管疾患の順となっていますが、25~29歳では自殺が圧倒的に多く、割合は半数以上の53.1%にもなります。
自殺は45~49歳でも2位に入っていますが、85~89歳にもなると自殺する人はほとんどいないようです。
5~9歳も自殺は10位までに入っていませんが、代わりに他殺が8位に入っています。
何とも衝撃的な現実です。5~9歳は不慮の事故が最も多く、3位に先天奇形、変形及び染色体異常、5位にインフルエンザ、6位に敗血症等、総数とはかなり異なる死因順位になっています。
女性はがんや自殺が少なく老衰が多い
最後の表は女性の年齢別死因順位と割合です。男性と比べると意外に違いのあることがわかります。
<女性の年代別死因順位>
資料:厚生労働省「人口動態調査」平成26年人口動態統計(確定数)の概況
女性の場合、5~9歳の1位は不慮の事故ではなく悪性新生物で、85~89歳の1位は悪性新生物ではなく心疾患になっています。
25~29歳の1位が自殺なのは男性と同じですが、割合は男性より10%以上も低くなっています。
逆に45~49歳の1位の悪性新生物は男性の24.4%に対して51.2%と倍以上になっています。
女性の総数でみるとがんや自殺は男性より割合が低く、心疾患や老衰は男性より高くなっています。
日本人の死因順位を細かく見ることで、日頃から何の傷病に注意しておくべきか少しはイメージしやすくなるかと思います。
例えば男性の45~49歳なら、悪性新生物・自殺・心疾患・脳血管疾患・不慮の事故で死因の7割以上になります。
事故に気を付けつつ、健康面ではがん・心臓・脳に特に注意を払いながら生活していくことで、より健康的な人生を送れそうです。
死亡への備えで保険に加入する場合でも、死因の確率を知ることでより無駄なく保障を確保できるのではないでしょうか。
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