【2012年 第4回】 子育て世代に合う生命保険のタイプはこれ!
ライフプラン別コラム – 子育て世代の生命保険入門
平野 雅章(ヒラノ マサアキ)⇒プロフィール
一口に生命保険といっても、様々なタイプがあります。今回は、子育て世代に合う生命保険のタイプを考えていきます。
生命保険のタイプは3つだけ
保険会社から様々な死亡保障の保険が販売されていますが、大きくは次の3タイプのうちどれかに分類することができます。
■定期保険
一定期間、例えば10年などと死亡保障の期間が決まっていて、期間が終了すると保障もゼロになります。払い込んだ保険料は戻ってこない、「掛け捨て」の保険です。
■養老保険
定期保険と同様に死亡保障の期間が決まっていますが、期間が終了すると死亡保障額と同じ金額の満期金が受け取れる保険です。
■終身保険
死亡保障が一生涯続く保険です。保険料の払込期間は、例えば60歳や65歳に設定できます。途中で解約をすると、「解約返戻金」を受け取ることができます。
3つのタイプの保険料を比較してみましょう。
貯蓄性のある養老保険・終身保険は、定期保険に比べると保険料が非常に高いことがわかります。
子育て世代では、教育費や子どもが独立するまでの生活費の負担を考えると、必要な死亡保障額(必要保障額)は数千万円になるのが一般的といえます。養老保険や終身保険で数千万円の保障を確保するには、高額な保険料が必要になります。将来かかる教育費への備えにお金を回すことも必要なため、保険料が安い定期保険を主に利用して、死亡保障を確保するのがよいでしょう。
必要保障額はだんだん減っていく
さて、ここで考えておきたいのは、必要な死亡保障額は一定ではないということです。例えば、次の家族について、必要保障額を考えてみます。
・夫 32歳の会社員。平成15年4月入社で平均標準報酬額が35万円。
・妻 30歳の専業主婦。以前はパートで厚生年金加入期間はない。
・子 1歳の長女。
現在の基本生活費は20万円、家賃は9万円。妻は夫の死亡後、パートを始め65歳まで年収100万円と想定します。子の教育に関しては大学が私立文系で他は全て公立とします。
夫の必要保障額は3,789万円*と算出されましたが、この金額はあくまで現時点の必要保障額です。15年後の夫の必要保障額は、2,155万円**と算出されました。子育て世代では、年齢を重ねると将来の教育費負担なども減っていくため、必要保障額は減っていくのが一般的といえます。
一方、普通の定期保険では保険期間中の保障額は一定のため、現時点の必要保障額に合わせた死亡保障額で加入しても、年月が経つと徐々に保障額が過剰になっていきます。
*詳しい前提や算出方法は第3回の記事を参照。
**夫の平均標準報酬額が38万円、死亡時の退職金・死亡弔慰金が700万円、自己資産が700万円とそれぞれ30歳時から増えたものとして試算。
子育て世代には収入保障保険がお勧め
普通の定期保険では、徐々に保障額が過剰になっていくことへの対処として、定期的に必要保障額を算出し直し保障の減額を行っていく方法がありますが、まめに減額を行うのもなかなか大変です。ところが、定期保険の中で「収入保障保険」や「逓減定期保険」と呼ばれる種類の保険は、年月の経過とともに保障額も減っていくため、必要保障額の減少に対し無駄が生じにくいといえます。
「収入保障保険」は、比較的新しい種類の保険ですが、商品数が増えメジャーになりつつあります。各社で保険料の引き下げが競われた経緯もあり、保険料は割安といえます。保障の対象となった人が万が一死亡した場合や所定の高度障害状態になった場合に、加入時に設定した保障期間が終わるまで、遺族にお給料のように毎月一定の金額が支払われる保険です。
例えば、夫が30歳時に月の給付額を10万円、保障期間を60歳として加入後すぐに亡くなったとすると家族が受け取れる給付金総額は10万円×12ヶ月×30年=3,600万円となります。夫が10年後の40歳時に亡くなったとすると給付金総額は2,400万円、50歳時では1200万円と、年月の経過により徐々に保障額が減っていきます。
徐々に保障額が減っていく分、普通の定期保険に比べ、保険料も安くなります。例えば、30歳男性が普通の定期保険に保険期間10年、保障金額3000万円で加入した場合、月の保険料は30歳時4,700円、40歳時7,900円、50歳時16,400円程度です。一方、30歳男性が収入保障保険に保険期間60歳、月の給付金額10万円(給付金総額3,600万円)で加入した場合、月の保険料は60歳まで2,800円程度とかなり安くなります。
次回の記事では、収入保障保険の仕組みとメリット・デメリットについて、より詳しく解説したいと思います。
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