【2005年 第2回】転職・離職~ どうなる!?愛・地球博のその後の愛知~転職
大石 泉(オオイシ イズミ)⇒ プロフィール
愛知県の景況は、バブル崩壊以降最高の水準にあるという。
自動車産業とその関連産業の好調に加え、新空港と愛知万博の2大プロジェクト特需。
これらがもたらす経済効果と新規雇用は、当初の予想を上回るのではと期待する。
万博需要
自動車産業等の製造業を原動力に好調を維持している愛知県経済だが、非製造業も名古屋市内を中心に商業施設の新設が相次ぎ、既存の宿泊業や小売業なども万博特需に沸いている。
先日も名古屋市内のホテルが取れず、桑名まで足を延ばす始末。
聞けば、京都のホテルまでもが予約が取りにくい状況とか。まったく万博効果は大したものである。
9月25日の閉幕を前に、前売り券の駆け込み償却が起っているに違いない。
愛知県の有効求人倍率
愛知県における有効求人倍率は、平成3年の2.54倍をピークに下降を続け、平成11年には0.56倍となったが、徐々に回復傾向を示し、先日発表された7月のデータでは1.43倍と全国平均(0.97倍)を大きく上回っている(厚生労働省・愛知労働局)。
職種別では、専門・技術職や生産工程・労務職などの求人が多い。
万博開催によって求人が増えたとされるサービス職・保安職の求人数は、求職数を大きく上回る状態だ。
だが、4月時に比べ、総求人数は、総求職者数の2,000人減に対し、1万人減となっている点は見逃し難い。
愛知県の完全失業率
8月30日に総務省が発表した7月の完全失業率(季節調整値)は、4.4%と5ヶ月ぶりに前月比で0.2ポイント上昇した。
これは、条件の良い仕事を求めて仕事をやめたり、新たに職探しを始める人が増えたことが要因。
会社の倒産やリストラ、定年など「非自発的失業」は24ヶ月連続で減っている。
2005年4-6月期における東海地域の完全失業率は3.3%、愛知県は3.6%と全国平均(4.5%)を大幅に下回る。
雇用情勢は改善傾向にあり、他地域に比べ相対的に良好な状況だ。
失業率に影響を及ぼす入職、離職、転職だが、平成16年雇用動向調査によれば、平成16年の1年間に入職及び離職をした者は、入職者が673万人、離職者が685万人で、延べ労働移動者は1359万人となった。
率でみれば、入職率は15.7%、離職率は16.0%。
平成9年以降、離職率が入職率を大きく上回っていたのだが、平成16年はかなり拮抗した数字となっている。
入職者を職歴別にみると、転職入職者(入職前1年間に就業経験のある者)は434万人。
1月1日現在の常用労働者数に占める割合(転職入職率)は10.1%と前年の8.8%から1.3ポイント大きく上昇した。
愛知県の経済成長率
さて、話を愛知県に戻そう。愛知県の平成15年度の経済成長率は、実質で1.4%と6年連続のプラス成長。
この間、日本経済は2度のマイナス成長を記録している。
ひとりあたりの県民所得も国民所得を上回る。暮らすのも働くのも愛知県、ということか。
だが、過去のデータによれば、万博の後は必ずGDPが低下するという。
一部では、愛知万博で得た「国際交流」をネタに、愛知県が経済成長し続けるための取り組みが始まっている。
愛知県の実力が試される時がやって来る。
【2005年09月21日00時00分】
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