ITだけのパスポートではない!:ITパスポート【2014年 第2回】

2014年 第2回 ITだけのパスポートではない!:ITパスポート キャリアアップにつながる資格のお話

松山 智彦(マツヤマ トモヒコ)⇒プロフィール

今回は情報処理技術者試験の導入・基礎的な資格である「ITパスポート」をご案内いたします。IT関係者以外の方にも注目の資格です。私はこの資格を平成21年に取得しています。(本文中に合格証を添付しています)

ITパスポートは、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/が主催している試験で、経済産業省の国家資格にあたります。

 

名前の通り、IT関連のスキルを表す資格ですが、その内容を見るとITだけに特化しているのではなく、経営学に関連する知識も問われています。つまり経営の4資源である、ヒト、モノ、カネ、情報をIT関連者の立場から捕らえ、それを試験範囲としています。いわばミニMBA(経営管理学修士)というと大げさでしょうか?

そのため、IT関連以外の分野の人でも経営に携わろうとする人には、取得しておいても損はないと思います。

○試験内容

科目は、経営全般のストラテジ系、ITの管理関係のマネジメント系、IT技術系のテクノロジ系の3つの分野になり、ストラテジ系が35問、マネジメント系が25問、テクノロジ系が40問の合計100問(小問84問、中問16問)が出題されます。試験時間は165分。つまり2時間45分。出題形式は4択方式です。合格点は1,000点満点中600点以上ですが、分野別にそれぞれ30%以上の得点がないと不合格になります。

それぞれの分野ですが、ストラテジ系では、経営工学(企業活動、QC,生産管理、在庫管理等)、企業会計、法務(知的財産権、ライセンス、労務関連法規等)、経営戦略(戦略マネジメント、マーケティング、システム企画等)が範囲になります。マネジメント系ではプロジェクトマネジメント、工程・日程管理、システム監査などが範囲です。テクノロジ系では開発工程やデータベース、ネットワーク、セキュリティが範囲になります。

○受検方式

ITパスポートはCRT方式のため、試験はPCを使って行います。したがって持ち込めるものは筆記用具を含めて無しです。身ひとつで試験を受ける事になります。MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)や証券外務員試験などを受検された方はご存知だと思います。CRT方式だと、合格不合格も試験終了後にその場で知る事ができます。またいつでも受検する事が可能です。受検料は5,100円です。因みにITパスポート以外の情報処理試験も同じ額です。

○受検してみての体験談

残念ながら私はCRT方式の前のペーパー方式で受検したのでその経験をお話します。ITパスポートの前身であるシステムアドミニストレータの受検経験があるので、内容的には大差はないだろうと思っていましたが、ストラテジ系の充実具合にはすこし戸惑いました。ただこれも金融関係に在籍した事が幸いで、ストラテジを学ぶ機会が多かったので、知識としてはそれを確認するだけでした。ただ、ネットワーク管理やセキュルティ管理については、以前よりも進化していて、スプレットシート(ロータス123やExcelのような表計算ソフト)の出題なども慣れていないと難しいかもしれません。

○まとめ

ITパスポートは、分野が広いので一見大変そうに感じるかもしれませんが、なんらかのIT関連の仕事に携わろうとする人には、システムの全体像と自分の仕事の位置づけを知る上でとても重要な知識が詰まっています。また、ITに関係なくても経営に携わるものとしてストラテジやマネジメントの部分は多いに役立てる分野だと思います。

これから社会にでる大学生には、ITをめざさなくても、経営者をめざさなくても、ぜひとも勉強しておいてほしい、スキルが詰まった資格だと私は思っています。

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