2014年 第5回 旅する楽しみを資格に:旅行業務取扱管理者 キャリアアップにつながる資格のお話
松山 智彦(マツヤマ トモヒコ)⇒プロフィール
旅行とは、違う土地の文化に触れたり、食事を堪能したり、経験を積んだり、人と出会ったり、日常生活から離れていろいろと楽しむものですよね。 今回はそんな旅行に関する業務を行うために必要な資格をご案内いたします。
旅行業務取扱管理者は、国土交通省管轄の国家資格であり、社団法人 全国旅行業協会が管轄・試験を実施する「国内旅行業務取扱管理者」と、海外旅行も取り扱う事が可能な、社団法人 日本旅行業協会が管轄・試験を実施する「総合旅行業務取扱管理者」の2種類があります。今回は国内旅行業務取扱管理者についてご案内いたします。
旅行業務取扱管理者の職務は、1)旅行に関する計画の作成、2)旅行業務取扱料金の提示、3)旅行業約款の提示と備え置き、4)旅行者に対する取引条件の説明と、国土交通省は定めています。実際には、これらを管理、監督するのが管理者の職務になります。
参考:旅行業施行規則第10条では、1.企画旅行の旅行計画の適正な作成、2.料金表の掲示、3.旅行業約款の掲示、4.取引条件の説明、5.契約書面の交付、6.適正な広告の実施、7.旅程管理のための必要な措置:旅程管理業務を行う主任の者を通じた管理・監督、8.旅行に関する的確な苦情処理、9.契約内容に係る重要な事項についての明確な記録または関係書類の保管、10.上記に掲げるもののほか、取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利使を確保するため必要な事項として観光庁長官が定める事項になります。
旅行業者は、旅行業務取扱管理者を最低一人(営業員10人以上の大規模店舗の場合は二人以上)は配属しなければなりません。ちなみに管理者は、社内の職掌と一致させる必要はありません。
ちなみに旅行業は、募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行というできる業務範囲と国内・海外の区分によって、第1種~第3種、及び旅行業者代理業に分かれて免許が国土交通省から交付されます。
○試験内容
試験は年1回、9月ごろに実施されます。試験会場は2014年の場合、北海道(札幌市)、宮城県(仙台市)、埼玉県(草加市)、東京都(区部)、愛知県(名古屋市)、大阪府(吹田市)、広島県(広島市)、福岡県(福岡市)、沖縄県(那覇市)で実施される予定です。
試験時間は2時間(13:30~15:30)になります。
願書は6月頃から配布されます。試験申し込みは7月下旬ごろの1週間。全国旅行業協会に申し込みをします。合格発表は10月ごろです。
○受験方式
科目は、法令、約款、旅行実務(料金、観光)の3科目です。
合格ラインはそれぞれの科目100点満点で60点以上になります。
解答方法は4択のマークシート方式なのですが、その中身は、選択、穴埋め、計算、○×式になっています。
実際の試験問題を国内旅行業務(観光)の例で見てみましょう。(平成24年の出題から)
この問題では観光ルートを挙げていますが、問われているのは観光地です。(1)だと、北海道道北にある島の観光地、(2)では岩手県内のお寺の観光地です。このほか観光では、郷土料理や民謡、民芸などが出題されます。
○受験してみての体験談
私が受験した頃は、国内旅行業務取扱主任者という試験名称で、記述式でした。試験範囲も微妙に変わっているのですが、難易度はさほど変わってなく、出題パターンや傾向もほぼ同じです。旅行業法や協会の体制等が変わった関係で名称や試験方法が変更されました。
私はもともと鉄道ファンでしかも時刻表系だったのと、旅行と地図が好きだったので、地名や観光地の知識が豊富でした。ですので、旅行実務は実はほとんど勉強していません。しかし、受験者にとっては、旅行実務は結構苦手なようです。理由は、法令や約款では勉強方法があるようですが、旅行実務の特に観光に関しては勉強方法が解らないようです。実は私も講座の講師をする事があるのですが、勉強をせずに受験したので、実はこれといった勉強法は思いつきません。さすがに出題傾向などは、しっかりお伝えはできます。実際の講座では、旅行会社から旅行企画のパンフレットを集めてチェックすると言う方法を案内しています。観光地や郷土料理、実際の旅行ルートなどが載っているので結構勉強になります。
○まとめ
旅行会社に就職する事を考えている場合には、取っておいたほうがが良い資格だと思います。合格率が大体30%強なので、難易度的にはやさしいほうかもしれません。協会のホームページなどで過去問題を取り寄せる事ができますので、どういったものが出題されるかを見てみてはいかがでしょうか?
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