2014年 第4回 「安全性と需給をチェック」-会社四季報チェックポイント
長谷 剛史(ハセ タケシ)⇒プロフィール
株式投資の王道は、会社四季報に掲載されている項目を理解し活用することです。前回は本業の重要性ということで「営業利益」・「売上高営業利益率」を取り上げましたが、今回は安全性と需給をチェックするということで「自己資本比率」・「大株主の異動」についてみていくことにしましょう。
ROE(自己資本利益率)とは?
ROEとは、企業の投資効率の高さや成長率の高さを判断する指標になり、利益÷自己資本×100で計算します。投資効率が良く成長率が高い企業の株価は上がっていきますので、ROEが高い企業を選択することが大切です。
例えば、2人の経営者に100万円投資することを考えてみましょう。
Aの経営者:年間20万円の利益を稼いでくれる
Bの経営者:年間5万円の利益を稼いでくれる
Aの経営者への投資効率は、20万円÷100万円×100=20% (ROE=20%)
Bの経営者への投資効率は、 5万円÷100万円×100= 5% (ROE= 5%)
Aの経営者の方が経営能力が高くかつ投資効率が良いと判断することができます。株式投資は、経営能力の高い優秀な経営者へ投資し、自分の代わりに稼いでもらうことです。つまり、株主の投資額を元手にどれだけ利益を生み出してくれるかが大切です。
会社四季報には計算をしなくてもROEが掲載されていますので、例えば最新の四季報(2014年秋号)で自動車業界を確認してみましょう。トヨタ自動車は実績12.6%予想12.5%、日産自動車は実績9.0%予想9.7%、ホンダは実績9.7%予想10.1%です。同業他社で比較して水準が高いのはトヨタ自動車ですが、前期実績より今期予想が少し下がっているのが気になります。株価の傾きに最も影響を与えるのはROEになりますので、水準と毎年の推移を必ずチェックするようにしましょう。
株価のトレンド(方向性)とは?
株価のトレンドとは株価の方向性のことで、①右肩上がり=上昇トレンド、②右肩下がり=下降トレンド、③方向性なしの3つがあります。会社四季報には、過去4年程度の株価の動きが掲載されていますので、株価の方向性を把握することができます。
3つのトレンドの内、どれを選択するのが良いでしょうか?
投資対象として検討できるのは、①右肩上がり=上昇トレンドになります。②は投資をしてもどこで下げ止まるのかわかりませんし,③は投資をしても株価が上がるのか下がるのか予想ができないため外した方が無難です。
②を選択する方が多いですが、考え方を変える必要があります。株価が下がり続けるには理由がありますし、そもそも株価に定価はありませんので昔に比べて株価が下がっているので安いという判断は避ける方が懸命です。
また、株価のトレンドは、数年単位で比較的長く続く傾向があります。少し株価が上がって利益確定するのではなく、トレンドが続く限りは所有した方が大きな利益を獲得できる可能性が高くなります。
まとめ
「ROE」・「株価のトレンド」をチェックすることにより、今後の株価の傾きを予想することができます。つまり、企業の規模やネームバリュー・メディアに流されるのではなく、この2つの指標で把握できますので、会社四季報で確認するようにしましょう。
次回は「黒字倒産を事前に見抜くには?」というタイトルで、キャッシュフローを取り上げますので楽しみにお待ちくださいね。
*上記は個別銘柄を推奨するものではなく、わかりやすく解説するため掲載したに過ぎませんのでご注意ください。
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