【2010年第3回 資産運用のポイント(2) 国債など債券投資について】相談コラム
恩田 雅之⇒プロフィール
100年に一度の金融危機を回避するために、2008年G20に参加している各国の政府は、公共投資やエコ・カー減税などの政策により政府支出を増やしました。
その効果もあり、2009年は多くの国の経済が最悪期を脱し、再びGDP(国内総生産)がプラス成長になりました。
しかしながら、政府支出を増やすために税金で賄えない部分に関しては国債を発行して資金を調達いたしました。そして、この原稿を書いている段階では、ギリシャの財政不安問題やギリシャを含んだPIGSの財政赤字が問題になっています。
そこで今回は、債券の性格について確認していきたいと思います。
債券の金利は、額面100円あたり利率○%と表現
1.債券の金利は、額面100円あたり利率○%と表現債券の金利は、額面100円あたり利率○%と表現します。
実際の債券の額面は、5万円、10万円、100万円など様々な額面のものが発行されますが、様々な債券を比較し易いように額面単位を100円で表します。また、償還時期(預金で言う満期)のときには、実際の額面金額+利子が購入者へ支払われます。
「金利上昇、価格下落」とは?
2.「金利上昇、価格下落」とは?
新聞の経済欄に10年物長期国債のニュースで「債券、金利上昇(価格下落)」ということが書かれているのを見たことはありませんか?
これは、景気動向や金利動向によって額面金額で債券の売買が行われないことにより起こります。債券価格は、償還までの間は常に価格が変動しています。
1.で、「額面100円あたり利率○%」と書きました、この利率のことを「表面金利」と呼びます。表面金利が3%でしたら、100円につき年間の利子は3円になります。
仮に、債券の価格が90円になったり110円になったりしても、年間に支払われる利子は、額面金額と表面金利で計算されます。
但し、実際の利回りは、
債券価格が90円に下がりますと、3円÷90円×100(%)=3.33%になります。
債券価格が110円に上がりますと、3円÷110円×100(%)=2.73%になります。
そして、上記の3.33%や2.73%のことを「利回り」と呼びます。
これが、「金利上昇(価格下落)」「金利下落(価格上昇)」の意味です。
債券の価格が上昇したり下落したりする理由は何か?
3.債券の価格が上昇したり下落したりする理由は何か?
債券価格の上昇下降は、需給によって決まります。その債券を買いたいと思う投資家が多ければ債券価格は上昇します。また、売りたい人が多ければ債券価格は下落します。
債券価格が変動する理由は、大きく3つあります。
1つ目は、利子の支払いを延期される心配がない、債券を発行した企業が倒産する確率がほとんど無いといった信用度の高い国や企業の債券は、価格が高く、金利は低くなります。逆に、国や企業の信用度低い場合は、価格が低く、金利が高くなります。
2つ目は、国債を例に取りますと、
今年発行された国債の金利が1年前に発行された国債(償還期間はともに10年)よりも高い表面金利で発売をした場合には、今年発行された国債は額面金額よりも高い価格で取引きされるか、1年前に発行された国債が安い額面金額よりも安い価格で取引されることになります。
3つ目は、景気が上昇から下降へ転じ始めたら、投資家は株式を売って債券を買う行動をしますので債券価格は上昇し金利は低下します。
逆に景気の底から上昇に転じそうな時には、債券を売って株式を購入する行動を取りますので債券価格は下落し金利は上昇します。
特に、途中で換金を考えられる場合は、「3.債券価格が変動する要因」についてしっかりと理解して債券投資に取り組みましょう
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