【2016年 第4回 万一に備えて知っておきたい 障害年金】資産形成と万一に場合に備えて 知っておきたい公的な制度
恩田 雅之(オンダ マサユキ)⇒プロフィール
老齢基礎年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されることが決定しましたが、国民年金には「老齢基礎年金」以外に「障害基礎年金」や「遺族基礎年金」といった保障もあります。
それらの年金の受給(支給)要件は、上記受給資格期間10年とは異なります。
万一の場合に備えるために「障害年金の受給要件」についても、しっかりと押さえておきましょう。
はじめに
病気やケガによって一定の障害の状態になった場合、支給される年金が「障害年金」になります。
国民年金の加入者は、「障害基礎年金」を受給することができます。
会社員など厚生年金加入者は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」を合わせて受給することができます。
以下、個々の障害年金の年金額や受給要件についてみていきます。
障害基礎年金について
障害基礎年金の年金額(平成28年4月以降)は、病気やケガの程度により2段階に分かれます。
1級の年金額は、780,100円×1.25
2級の年金額は、780,100円
1級、2級とも、子どもがいる場合は子の加算がプラスされます。
第1子、第2子は各224,500円、第3子以降は、各74,800円になります。
(子とは、18歳到達年度の末日を経過していない子、20歳未満で障害等級1級または2級の障害者になります。)
受給を受けるためには以下の3つの要件すべてに該当する必要があります。
1.国民年金に加入している間に初診日があること。20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満の方(老齢基礎年金を繰上げ受給していない方)。
2.障害状態が障害認定日に1級、2級に該当していること。
*障害認定日:初診日から1年6ヵ月過ぎた日、または1年6ヵ月以内に病気やけがの症状が固定(治った)場合はその日。
3.国民年金保険料の納付要件を満たしてしていること。
です。
国民年金保険料の納付要件は、
1.初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について保険料の納付
または免除されていること。
2.初診日(平成38年4月1日前)において65歳未満であり、初診日のある月の前々月まで1
年間に保険料の未納がないこと
のどちらかの要件をみたしていることが、原則必要です。
ただし、20歳前の年金制度に加入していない時に初診日のある場合は、納付要件は不要です。
また、20歳前の傷病による障害基礎年金については2段階の所得制限があります。
(所得額が398万4千円(2人世帯)を超える場合は、年金額の1/2が支給停止、500万1千円の場合は全額支給停止。)
障害厚生年金について
厚生年金加入時に、病気やケガで1級、2級の該当する障害状態になった場合、障害基礎年金と合わせて以下の障害厚生年金が支給されます。
障害厚生年金の年金額(平成28年4月以降)は、病気やケガの程度のより3段階に分かれます。
1級の年金額は、報酬比例の年金額(※)×1.25
2級の年金額は、報酬比例の年金額
配偶者がいる方は、1級、2級とも224,000円が加算されます。
3級の年金額は、報酬比例の年金額となります。
報酬比例の年金額は、585,100円(平成28年度)の最低保証があります。
障害等級表に定める障害の状態で3級より軽く、初診日から5年以内に症状が固定(治った)場合、一時金として障害手当金が支給されます。
支給額は、報酬比例年金額×2.0(最低保障額は、1,170,200円/平成28年度)です。
※報酬比例の年金額とは、下記の1と2を合計した金額になります。
1.平成15年3月以前の加入の金額
平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間の月数
2.平成15年4月以後の加入期間の金額
平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以後の加入期間の月数
*ただし、加入期間の月数が300月未満の場合は、300月とみなして計算します。
納付要件については、障害基礎年金と同様です。
最後に
障害基礎年金は、保険料の免除や納付猶予を受けた期間中での病気やケガに対しても、1級、2級の障害状態に該当していれば年金を受給できます。
納付猶予制度には、「学生納付特例」以外に、本人・配偶者の前年所得が一定以下の場合、50歳未満(平成28年6月までは30歳未満)までの方は、申請により納付猶予する制度があります。
くれぐれも、年金保険料未納よって「障害基礎年金」が受け取れない状況だけは避けましょう。
以上、障害基礎年金と障害厚生年金の年金額と受給要件についてみてきました。
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