【2012年 第1回】 2012年・世界の課題 ケース別コラム – 経済統計から考える資産運用
有田 宏 (アリタ ヒロシ)⇒ プロフィール
2012年はアメリカをはじめ各国の選挙も有り、今後の世界の行く末を決定する重要な年になりそうです。
2012年は重要な政治日程が目白押し
2012年はどのような年になるでしょう。2012、4の倍数という事はうるう年、夏のオリンピック、そしてアメリカ大統領選挙。民主党は現職のオバマ大統領、共和党はロムニー、ペリー等、多くの候補が名前を連ねていますが内輪での足の引っ張り合いが目立つようです。終盤まで茶会党の影響力が持続していくのか。現職オバマ大統領の再選は経済状況次第になるでしょう。
昨年はアイルランド、ポルトガル、スペインと政権与党が敗退しています。政権維持のためにはユーロの危機が収束に向かうことが必要条件でしょう。
アメリカばかりではなく、2012年は重要な政治日程が目白押しです(表)。
その中でも天王山は2月に予定されているギリシャの総選挙でしょう。全ギリシャ社会主義運動、新民主主義党、2大政党とも現状では財政再建に協力的ですが、財政再建は国民に大きな痛みを与えます。どちらの政党が多数を得るかに関わらず、選挙の過程で財政再建の速度を緩めるような約束を行えば、その後の政策に足かせとなる恐れがあります。財政再建の歩みが滞ればEUの支援も同様に滞る恐れがあります。
最悪のシナリオ、ギリシャ国債の秩序なきデフォルトも現実となります。混乱がユーロ圏の中核国、イタリアやスペインに波及すれば、それが4月に予定されているフランスの大統領選挙にどのような嵐をもたらすか。ユーロ崩壊も決して絵空事ではなくなります。そうならないことを祈りますが。
中国も共産党大会で指導者の交代が予定されています。こちらは大きな波乱は予想できませんが、習金平が最有力視されています。ここのところ、改革開放の姿勢の見直しがされているようにも思えます。原因は指導者交代に備えての内部引締めか、あるいはアメリカのオバマ政権は前政権ほど中国重視を示していないことへの対応なのでしょうか。ただ、中国はいずれにしても大幅な政策転換は無いでしょう。
それよりも中国が最も注視しているのが1月の台湾総統選でしょう。中国と台湾は経済協力枠組み協定(ECFA)を結んで、経済的には密接に繋がっています。中国との関係が悪化すると台湾の経済も大きな打撃をこうむります。野党の民進党も以前の様な早急な独立論は主張していないようですが、中国としては与党の国民党が政権を維持することの方が望ましいことは間違いないでしょう。
日本は、選挙はいつになるかわかりませんが、TPP、消費税などの重要な政策課題は山積みです。日本もユーロ圏同様、国内の足並みがそろいませんが、今後の日本の浮沈を決定する重要な年になるでしょう。
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