【2012年 第2回】UBS 2012年のサプライズ トップ10
ケース別コラム – 海外メディアから読み取る資産運用
マイアドバイザー®事務局 株式会社優益FPオフィス
2012年も、既に2ヶ月が過ぎようとしていますが、前回に引き続き、2012年の経済を予想した記事を紹介します。今回紹介するのは、スイスに拠点を置く世界有数の金融機関UBS(※2)の「UBS’ Top Ten Surprises For 2012」というレポートです。確かにサプライズというタイトル通りの予測が並んでいます。ラストの10番目の予測は、今年開催される4年に一度の祭典に関するものです。
1.コンセンサスは正しい
アナリストの予測ほど当たらないものは無いといわれますが、UBSもまた、アナリストの集合知であるボトムアップ-コンセンサス利益予測の過去の実績は酷いものだと述べています。もしそんなアナリストの予想が当たればそれ自体がサプライズであり、しかも2012年に限ってはあたるかもしれないと・・・。アナリストのコンセンサスでは、2012年の世界全体での利益成長率は11.7%と予想されているようです。
金融部門の好調
金融部門は、十分すぎるほどの悪いニュースに覆われている。だからこそ、ドッドフランク法案やボルカールールの緩和、ユーロ圏銀行の資本状況の改善、断固としたユーロ圏債務危機対応は、金融部門のパフォーマンスにサプライズを引き起こすかもしれないとのこと。
3.ユーロ急騰
1月のユーロ/ドルの安値1.26台を考えると、現在の水準はある意味急騰したとも考えられます。あるいはUBSはもっと高い水準を指しているのでしょうか。要因は、溜まりに溜まったユーロ売りポジションの巻き戻し、米国景気悪化、FEDによる追加的量的緩和策(QE)実施、ユーロ危機悪化に対するユーロ圏金融機関の流動性確保が引き起こす資金還流(リパトリエーション)など。
4.原油価格1バレル70ドル以下へ下落
11年に、95ドルでスタートした原油価格は、アラプの春と呼ばれるアラブ圏を中心に発生した民主化運動(騒乱)の影響で、4月には123ドルまで上昇しました。中東情勢の緊迫した状況を考えれば、原油価格が25%-30%以上下落することは想像しがたい・・が、しかし、このような状況の改善、ユーロ圏の景気後退、中国の需要の減少、あるいはグローバルな景気後退によっては、サプライズが起きるかも。
現状は、ギリシャ問題解決による世界経済の安定、各国政府および中銀の資金供給や金融緩和による金余り、イランの核開発や好戦的な態度と輸出停止、原発事故に起因した核エネルギーの制限などにより、急速に原油価格は上昇しています。
5. ユーロ圏以外での国家債務破たん
2012年にギリシャが破たんしたとしても、誰も驚かないだろう。(2/20には、ギリシャは第2次救済策合意をとりつけた。これがもし実行に移されれば3/20の破たんを、あくまでも一時的に免れることができる。)UBSのいう驚きは、ギリシャより先に他の新興国の中で破たんが発生したとき。
以下の各国債務に対するクレジット・デフォルト・スワップ(※3)の価格を示したチャートからは、投資家が、新興国の中ではパキスタン、ウクライナ、ハンガリー、クロアチアの破綻確立が高いと見ていることがわかります。UBSは特にハンガリーには注意が必要とコメントしています。
6.米10年債金利の急騰
巨額の財政赤字、積み上がる債務レベル、格下げ、にも拘らず、米国債券は最も安全な資産クラスにとどまり価格上昇(金利低下)の状況にある。金利上昇の要因は、リスク資産への投資とFED政策の正常化を伴う、米国の経済と金融の状況改善。逆に、米国のソブリン信用が急激に悪化することによっても金利高騰がありえる。
7.イタリアソブリン格上げ
今のところ、モンティ新首相の財政再建策は、格付け機関を納得させるに至っていない。一年以内の格上げの可能性はかなり低く、もし格上げされればマーケットにとってはビックサプライズとなる。
イタリアの債券市場に流動性が戻るには、イタリアが深刻で長引く景気後退を避けられると投資家に確信させ無ければならず、そのためにはドイツとECBの助けが必要。イタリアの格付けはドイツ次第という辛辣なコメントも。
8.欧州連合あるいは欧州経済通貨同盟からの脱退
ユーロ圏脱退は、出る国にとっても残される国にとってもリスクが高すぎるが、それが起こらないという意味ではない。歴史からの明らかな教訓は、ポピュリズムやナショナリズムが台頭してくると、合理性が低下するということ。崩壊の可能性(特にユーロ圏)が高まるだけで、投資家の気力を失わせ、見つけられる安全資産への逃避を引き起こすだろう。
9.5つ足らずの国で政権交代
2012年にもいくつかの国で選挙が予定されているが、既にギリシャ、イタリア、ポルトガル、ベルギー、スペインでトップが交代したように、現政権は非常にナーバスになっている。選挙が予定される国々は、台湾、フィンランド、フランス、韓国、スイス、インド、ウクライナ、米、ベネズエラ
10.英国は偉業を成し遂げる
ロンドンで開催される夏季オリンピックでの英国のゴールドメダル獲得数が米、中に次ぐ3位となる。過去6位が続いた英国は、2008年4位ともう少しでトップ3に食い込むところまで来ている。その他のゴールドメダル獲得順位予想は、中、米、英、露、豪、独。
※1 UBS’ Top Ten Surprises For 2012:
http://www.zerohedge.com/news/ubs-top-ten-surprises-2012
※2 UBS:
http://ja.wikipedia.org/wiki/UBS
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