【 2011年 第15回 増やす その1(インカム、キャピタル、為替について)】相談コラム
恩田 雅之⇒プロフィール
相談内容
- 相談者 Yさん(45歳) 女性/既婚
- 相談内容
子育てもそろそろ終わりに近づき、夫婦の老後資金について考える余裕が出てきました。
今までは、預貯金オンリーで、株や投資信託などの経験はありません。
ただ、現在の預貯金の金利には不満を感じています。少し資産運用を考えています。
資産運用を始める前の予備知識として何が必要ですか?
- 回答
まずは、株、債券などの金融商品がどのように収益を上げているか。また、預貯金との違いを理解しておきましょう。
国内の資産で運用した場合は、収益の上げ方は大きく2つあります。
1つ目は、利子収入や配当収入などで「インカムゲイン」と呼ばれています。
2つ目は、元本の値上がりにより得ることができる「キャピタルゲイン」になります。
ただし、元本が値下がりすることもあります、これを「キャピタルロス」といいます。
海外で運用する場合には、上の2つに加えて「為替」の変動で儲かったり、損したりします。
それでは、インカムゲイン、キャピタルゲイン(キャピタルロス)、為替のそれぞれの特徴をみていきましょう。
インカムゲイン
預貯金の利息や国債など債券の利子、株式の配当などが「インカム」と呼びます。
「インカムゲイン」の多い少ないあるいは「ゼロ」ということはありますが、「マイナス」になることはありません。「インカムロス」が無いことが「インカム」の特徴です。
キャピタルゲイン(キャピタルロス)
「キャピタル」とは資本のことです。ここでは、元本と考えて下さい。
最初のところでも触れましたが、株や国債などの債券には購入した時の元本が日々上がったり、下がったりします。それによって、儲かったり(キャピタルゲイン)、損したり(キャピタルロス)します。「キャピタル」の場合は「インカム」と違いマイナスになることがあります。
為替
為替については、外貨預金を例に説明します。
仮に、1ドル=100円の時、100万円分ドルを購入したとします。話を簡単にするためにここでは、為替を交換する時にかかる手数料を考慮しないで説明を進めます。
この時は、100万円で1万ドル購入できます。その後、1ドル=110円になったとしますと、円に換算しますと110万円になり、10万円プラスです。また、1ドル=90円の時は、円換算で90万円になり、10万円マイナスです。一般的に、円安はプラス、円高はマイナスに働きます。
上記3つ「インカム」、「キャピタル」、「為替」のトータル収益を式で表しますと、
(国内で運用の場合は)
インカムゲイン ± キャピタルゲイン(キャピタルロス)=トータルの収益
(海外で運用する場合は)
インカムゲイン ± キャピタルゲイン(キャピタルロス)± 為替 =トータルの収益
になります。
上の式を「預貯金」の場合で考えて見ますと、
「インカムゲイン」が利息にあたります。「キャピタルゲイン」は元本が変動することで得られる儲けになります。預貯金は元本保証なので「キャピタルゲイン」は「ゼロ」です。逆に、「キャピタルロス」も「ゼロ」になります。
為替につきましては、円で運用していますので、他の国の通貨と比べる必要がありません。儲けも損もありません。
預貯金は、「インカムゲイン」以外の「キャピタル」、「為替」の部分で変動がない金融商品と理解しておくと、他の金融商品との比較がしやすいかと思います。
それ点が、預貯金が他の金融商品に比べて、安全性が高いと言われる理由になります。
預貯金以外の金融商品は、「インカム」以外の「キャピタル」や「為替」の部分でも儲けが期待できます。「キャピタル」や「為替」の部分がプラスに働けば、預貯金に比べて大きい儲けが得られます。逆に「マイナス」に働けば、預貯金では発生しない損が出てしまいます。
資産運用を始める前の予備知識として、運用する金融商品がどのような方法(インカム、キャピタル、為替)で儲けを出すのか知っておきましょう。そして、「インカム」以外は、プラス・マイナスがあることも理解しておきましょう。
この記事へのコメントはありません。