【 2010年 第7回 資産運用のポイント(4)】相談コラム
恩田 雅之⇒プロフィール
資産運用をするには、運用する投資対象商品を知ることが大切です。
今回のコラムでは、リートについてその仕組みを中心に説明していきます。
リート(REIT)は、「Real Estate Investment Trust」の頭文字を取ったもので、日本語の訳では、「不動産投資信託」と呼んでいます。
リート市場が初めにできた国は、米国になります。設立時期は、1960年なのでちょうど50年目になります。
上場銘柄は100銘柄を超えています。また、リート市場の規模でも全体の6割弱が米国になります。
他にオーストラリア、イギリス、フランス、日本などが市場規模の大きな国になります。
日本では、2000年にリート市場ができました。現在、上場されています銘柄数は38銘柄になります。
市場ができてようやく10年目になります。市場規模は、全体のリート市場のだいたい6%前後です。
それでは、リートの仕組みについて書いていきます。
リートは会社のような形式で運営されています。イメージとしては、貸しビルを管理し運営している不動産管理会社のような感じです。
賃料収入を得るための物件(建物)を購入するための資金は、投資家からの出資と金融機関からの借入で賄います。
購入した物件の種類は、オフィスビルや商業施設、賃貸マンション、倉庫、病院など様々です。オフィスビルを専門に運用するリート、商業施設を専門に運用するリートなど個々のリートには、それぞれ得意分野があります。
複数のビルを所有し、その物件から得られる毎月の賃料がリートの主な収入になります。また、所有したビルを景気の動向などにより売却したり、新たにビルを購入したりすることで収入のアップや収入の安定を図ります。
毎月の賃料や物件の売却益などの収益がリートの売上になります。そこから、所有している物件の管理を行う経費や金融機関への利子などを引いた残りがリートの利益になります。
一般の事業会社ですと、利益に対して法人税がかかります。日本ですとだいたい40%ぐらいです。
リートは一般の事業会社と違い、税制上法人税が免除されています。免除されるためにリートは、利益の90%以上を投資家へ配当として支払うことが義務づけられています。
そのために、一般の事業会社の配当に比べ、高配当利回りを期待できます。
また、リートの価格(投資口価格)は、景気の悪化などにより所有している物件の空室が多くなり、更新時に賃料が上げづらくなった場合など、将来的な賃料収入の減少を嫌気して、投資家がリートを売ることで、価格(投資口価格)が下がります。
逆に、景気の状況が好転した場合は、将来的な賃料収入の上昇を期待して、リートの価格が値上がることが期待できます。
リートも株式と同じように、将来的に見込める利益に対して、投資口価格が上昇したり下落したりする商品です。
ただし、リートのメインの収入が毎月の賃料である点から、価格の変動幅で、株式と債券の中間に位置するものと言われています。
しかし、リーマン・ショックのよう100年に1度の金融危機で、世界の金融システムを揺るがすような危機が発生した時には、銀行が貸出しを厳しくします。
その場合は、リートが制度上、利益の内部留保できない(利益の90%以上を投資家へ分配)ことで、投資家にリートの資金繰り対して不安が起こった場合、株式以上の価格変動が起こることもあります。
リートの仕組みとリスクについて理解いただき、株式や債券と違う動きをするリートを活用され、資産運用の幅を広げられてはいかかですか。
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