住宅ローンは2段階で繰り上げ返済を【2010年 第8回】

【2010年 第8回 住宅ローンは2段階で繰り上げ返済を】相談コラム

佐藤 名ゝ美(サトウ ナナミ)⇒プロフィール

 

このコラムは、相談いただいた事例を紹介するコラムです。

 

 

 

相談者・家族構成

夫(36)会社員、ぽんかんさん(32)専業主婦、長男(4)、長女(2)、次女(1)

相談内容

保険料が高く負担に感じているのですが、医者から「母と同じ病気になる遺伝的要素を十分に持っている」と言われ、将来の医療費が心配でなかなか削ることができません。

保険会社からは「夫と私の保険は分けて入る方がよい」と言われましたがどうなのでしょうか。

 子ども達が進学して教育費がかさむ頃までには、住宅ローンも繰り上げ返済していきたいのですが、今でもボーナス時の返済が高額で正直きついです。金利の変更などはできるのでしょうか。

 

 

 

 

回答

まず生命保険ですが、保障は個人ごとに準備するのが鉄則です。

夫の保険は、夫が万一の場合に保険金が支払われることにより契約が終了するため、家族型にしていると、その時点で家族の保障も全て消滅してしまいます。

その後、残されたご家族に保障が必要な場合には、新しい保険に加入しなければならないことになりますが、その時点で健康状態に問題があれば何かと難しいことになってしまいます。

また逆に、妻の健康状態に問題が生じた場合、持っている保障を守らなければならないために、メインの夫の保障を見直すことができなくなる可能性もあるのですよ。

もっと言うならば、同じ人一人分の保険についても、死亡や医療など目的別に会社や商品を分けて加入されることをおすすめします。

生命保険は、いろいろな保障をセットにして入るものだと思い込んでいる人が多いですが、目的別に必要な保障だけをピックアップして分散加入した方が、保険料も安く設定できるうえ、後で見直す時も部分ごとに修正ができて非常に便利。ここで一度、ご家族全員分の保障を総合的に見直しなさることをお勧めします。

 次に、住宅ローンについて。ご希望の金利見直しは、借り換えをすればもちろん可能ですが、現在の2.75%(全期間固定)より低い金利となると、必然的に変動あるいは固定金利期間選択型のローンを選択することとなりますので、将来の金利変動に注意が必要です。

また、借り換えに伴って発生する経費(保証料や事務手数料、抵当権の設定費用など)もそれなりにまとまった金額になり、本当に借り換えた方が有利なのかどうかは非常に判断が難しいところです。

それよりも、十分な預金をお持ちのことですし、早目に繰り上げ返済をされてはいかがでしょうか。

ご希望通り毎回の返済額を軽くするには、通常は『返済額軽減型』を選択しますが、返済残期間が28年と長いぽんかんさんの場合、今の段階でこの方法を採っても思ったほど返済額軽減効果は大きくはありません。先に一旦『返済期間短縮型』で返済残期間を減らしましょう。

残期間が短くなったところで、さらに『返済額軽減型』でもう1度繰り上げ返済します。繰上げ返済の合計額が同じ場合、このように2段階に分けた方が、毎回の返済額も支払う金利の総額も小さくなりますよ。

最後に、ご健康については大いに気になるところです。保障の準備は十分に、でもそれを使わずに済みますようにお祈りしています。

 

このコラムは、熊本日日新聞(2004年4月~2005年3月)に掲載された「家計CHECK」を加筆修正したものです。

  • コメント: 0

関連記事

  1. 後悔しない住宅ローンの選び方⑨―変動金利型が大幅増加の意味すること【2010年 第 9 回】

  2. 高金利の日本 マイナス金利は不可能か?【2010年 第9回】

  3. 北海道の会費制は「思いやり」から…【2006年 第1回】

  4. 今、介護にかかる費用は?【2014年 第2回】

  5. 大きな支出対策① 生命保険の見直し②【2008年 第10回】

  6. 我が藩に8万貫の大敵あり【2015年 第4回】

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。