【2016年 第7回 年代別FP相談50代】最近のFP相談事情と今後
長谷 剛史 (ハセ タケシ)
第6回では年代別の相談事情とポイントの3回目として、人生の折り返し地点を迎えた40代を取り上げてご紹介しました。
今回は、年代別の相談事情とポイントの4回目として、50代を取り上げてご紹介したいと思います。
50代は老後が目前に迫っていますので、何かと悩み多い年代になります。
(1)50代の悩みや不安とは?
相談者の日常生活での悩みや不安を理解し、その解決策を一緒に考えることがFPに求められています。
前回の40代と同じように、内閣府の「平成27年度国民生活に関する世論調査」から50代の悩みや不安を確認してみましょう。
まずは、悩みや不安を感じている割合は71.9%となっており、年代別で比較すると50代が最も高くなっています。
老後が目前に迫っている自分自身の問題、両親の心配、子どもの就職や結婚など気がかりなことが多いのかもしれません。
次に悩みや不安の内容ですが、第1位は「老後の生活設計について」、第2位は「今後の収入や資産の見通しについて」、第3位は「自分の健康について」、第4位が「家族の健康について」となっています。
老後の生活設計への不安は断トツで第1位になり、老後を現実として受け入れなければいけないことを自覚しているのがわかります。
また、50代になると自分の健康を気にする割合が40代に比べかなり増加するのも1つの特徴と言えるでしょう。
(2)住み替えのご相談
子どもの教育環境を重視して購入した郊外の自宅が、子どもが巣立っていくことにより住み心地が気になってくる時期なのかもしれません。
夫婦2人だと広すぎるし駅やスーパーが遠いとなると、将来のことも考えて都会に住み替えたほうがいいのではないかというご相談が目立って多くなっています。
郊外では人口減少を目の当たりにする空き家の問題もあり、病院やスーパー及びコンビニが近くにあり交通の便が良い都会のマンションを希望されます。
現在の自宅がどれくらいで売却できるのか、住み替え先の住宅はいくらの物件にするのかはライフプラン=将来系計画を立てて判断することがポイントです。
(3)子どもの進路・就職・結婚のご相談
50代の子どもは大学進学・就職・結婚を迎える年ごろになっています。
まずは、大学進学ですが、親が学生だった時代と現在では様々な面で違いがありますので、どのようにアドバイスすればいいか、下宿になればかなりのお金がかかるのでどう考えればいいかという相談が多いです。
次に、就職活動ですがどのような企業を目指せばいいかという悩みに対して、企業研究や経済の見聞を広めることができる株式投資を勧めることがあります。
従業員の立場だけではなく、経営者の立場や株主の立場で企業を見てみると多くの発見があります。親子で勉強・企業研究してもらえるとより効果があります。
その先は結婚ですが、最近は価値観が多様化し、一生独身を貫く方もいますし結婚後に子どもを望まない方もいます。
親世代の「普通」が子ども世代の「普通」ではないことに気づいてもらうために、経済状況の話をすることも多くなっています。
(4) 退職金受け取り方法のご相談
50代後半になると退職金のことが気になりだし、お勤め先でも説明があったりしますので、退職金の額に一喜一憂した後、一括での受け取りと分割での受け取りとどちらが得か、さらに一括と分割と併用したほうが得かと悩む方が相談に来られます。
税金の損得を気にする方が多いですが、一括で受けとるとその受け取ったお金をどのように管理運用するのか、分割で受け取ると企業年金にもよりますがどの程度の利回りで受け取る額が保証されるのかも確認することが必要です。
どちらかと言うと、将来のことはわかりませんので、もらえるときに受け取っていくという発想もありかもしれません。
(5)健康や生きがいのご相談
疲れが残ったり二日酔いが抜けにくくなったり、体力が低下していることを自覚する方が多い年代です。
そろそろ身体のメンテナンスに意識をおくことが大切な年代ですので、長生きしたいのであればウォーキングやストレッチなど簡単な運動から始められることをお勧めしています。
また、仕事一筋で人生を送ってきた方は、仕事以外にやることがないというケースもあります。
やはり、退職する前に趣味などの生きがいを探しておかないと、退職後退屈な毎日を送ることになりかねません。
仕事以外の付き合いを少しずつ増やしていき、イキイキした老後を送って欲しいです。
50代の方からの相談事情とポイントは参考になりましたでしょうか?
資産運用や住宅ローンのご相談も多いですが、今回は50代の方の特徴を考慮して相談事情をご紹介しました。
また、ポイントとしては、50代は自分自身の老後の心配だけではなく、両親や子どもの心配も多いので、FPへのお金の相談だけではなく人生相談になることが多いという点も挙げることができます。
是非、一人で悩むのではなく、何でも話ができ人生相談もできる一生お付き合いができるFPを見つけて欲しいと思います。
次回は、職業別FP相談の1回目としてお勤めの方(民間)の相談事情とポイントを取り上げますので楽しみにお待ちくださいね。
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