【2016年 第9回 お勤めの方(公務員)の相談事情とポイント】最近のFP相談事情と今後
長谷 剛史 (ハセ タケシ)
第8回では職業別FP相談事情とポイントの1回目として、お勤めの方(民間)を取り上げてご紹介しました。
今回はその2回目としてお勤めの方(公務員)の相談事情とポイントを、私が感じていることも加味して3つご紹介したいと思います。
家族構成や年代及び年収によって相談内容は異なりますが、どのような相談が多いのでしょうか?
(1) ライフプラン(将来計画)のご相談
公務員の方は真面目な方が多く、若い方でも早めにライフプラン=将来計画を立てたいと相談に来られます。
公務員の方でも昔と違って右肩上がりの給料や多額の退職金が保障されているわけではありませんし、2015年には共済年金が厚生年金と一本化されたこともあり、将来に対して漠然とした不安をお持ちの方が多いです。
まずは、自分自身が思い描く将来から、教育や住宅及び老後などのお金がちゃんと賄えそうかを考えてみることが大切です。
現状を把握し、次に問題点を洗い出し、それから改善策を考え実行に移していけば、思い通りの将来を手に入れる可能性が高くなります。
また、公務員の方でも自衛官の方は退職が55歳前後と一般的な公務員の方より早いため、再就職する方が多いとは言え、不確定要素が多く不安になりがちですのでライフプラン=将来計画を早めに作成しておいたほうが良いでしょう。
(2) 住宅ローンのご相談
新規で住宅ローンを組むケースでは、家計に見合った物件価格や住宅ローンの組み方を知りたい、住宅ローンの借換えを検討されているケースでは、そもそも借り換えをしたほうが良いのかどうかや借り換え後の住宅ローンの組み方など悩まれる方が多いです。
公務員の方からの住宅ローン相談で私が感じるのは、繰り上げ返済への意欲が強く、少しでも早く借金を返済したいと考えている方が非常に多いことです。
勿論、繰り上げ返済を実行すれば、利息軽減効果はありますし返済期間を短縮する効果もありますが、視点を変えると住宅ローンという負債は減少する半面、繰り上げ返済に使った預貯金という資産が減少するという側面もあります。
あまりにもハイピッチで繰り上げ返済をしすぎて預貯金が少なくなり、万が一に対応できないということがないように気をつけて欲しいと思います。
また、もう一つの視点として、例えば、200万円の余裕資金が捻出できた場合、繰り上げ返済に使うというのも良いですが、資産運用に使うという考え方も一つの選択肢になるのではないでしょうか?
10年以上の長い期間で考えられるようであれば、繰り上げ返済による利息軽減効果よりも複利を活かした資産運用のほうが高い効果が得られる可能性もあります。
例えば、2,000万円を元利均等・35年返済・長期固定1.2%で組み、3年後に200万円を「期間短縮型」で繰り上げ返済すると、利息軽減効果は約87万円で返済期間は49か月短縮されますが、200万円を10年間4%複利で運用できた場合、資産は約96万円増加します。
勿論、資産運用に絶対はありませんが、ある程度の勉強と相談できる専門家を味方につけ、長期で投資を行えば必要以上に怖がる必要はないでしょう。
(3) 不動産投資に関するご相談
これから不動産投資を始めたい、始めてみたがうまくいかない、と相談に来られる方が他の職業の方より多いと感じています。
比較的、資産と時間に余裕をつくりやすいからかもしれません。
「家賃収入で経済的な自由を手に入れよう」などのキャッチコピーに飛びつくのではなく、しっかりリスクも考慮した上で検討することが大切です。
不動産投資で成功し悠々自適に暮らしている方もいますが、かなり勉強されている方が多いです。
不動産投資は、オーナー=経営者になるという視点を持つ必要があるのではないでしょうか?
また、「家賃保証がつくので空室リスクのことを考えなくてもいいのでは?」と質問を受けることがあります。
最近メディアでも取り上げられていましたが、物件が古くなっていけば10年後も20年後も同じ家賃が保証されることは考えにくいですし、修繕やリフォームを実施しなければ家賃保証自体を断られることも考慮しておく必要があります。
さらに、日本では人口が減少し空き家が増加していますので、今後は不動産投資には厳しい環境になっていくことが想像できます。
人任せにするのではなく自分自身で事業計画をしっかり吟味し、後悔がないようにすることが肝心です。
お勤めの方(公務員)の相談事情とポイントは参考になりましたでしょうか?
様々な年代の方から多種多様なご相談がありますが、今回はお勤めの方(公務員)の特徴と私が感じることをご紹介しました。
また、ポイントとして特に投資に関してですが、一切しないという方と、積極的に投資額を増やす方と両極端に分かれているように感じていますので、視野を広げて様々な視点から投資を考えることが大切です。
最後に、経済状況や社会保障制度も考慮したアドバイスや人生相談もできる、一生お付き合いができるFPを見つけて欲しいと思います。
次回は、職業別FP相談の3回目として経営者の方の相談事情とポイントを取り上げますので楽しみにお待ちくださいね。
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